毎日楽しく団子を食べよう
□5.事件発生
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白川sid
国木田「異能特務課からの依頼だ。内容は、今この町で起きている「異能力盗難事件」だ」
この町では今、不思議な事が起きている
それが国木田君の言った事件だ
国木田「言葉通り、この事件は自分の持つ異能力が奪われると言う事件だ」
中島「奪われる...、あの時の?」
この部屋はよく会議等で使われるらしい
重要な依頼が来た時に全員で集合して作戦会議やら対策やらを考える場所のようだ
そして、中島の言った「あの時」とは
数ヶ月前に世界で起こった「異能者自殺事件」の事だ
異能力で作られた霧が街中を覆い、その霧に触れると自らの異能力が肉体から離れ
その異能力者を殺す事件だった
あれは俺も被害にあったが何とか生き延びた
どうやって生き延びたのかは分からないけど、特に被害もなかった気がする
国木田「あれは自分の異能力によって殺されるが、今回は奪われるだけだ」
『へー、それはいいね。俺は是非盗まれてほしいよ』
国木田「冗談も程々にしろ。異能力に一度でも頼ってしまえば元の生活には戻れない。実際、それで何人もの元異能力者が油断して死んでいる」
冗談で言った訳ではない
俺の異能力は1歩間違えれば異能力者を殺す事も簡単な作業となる
俺はこの異能力が嫌いだ
嫌いだからこそ、誰かに押し付けたい
そうすれば、俺は一般人となって普通の生活が出来るようになる
それが俺の望みであり、夢である
叶わない夢、誰でも分かるだろう
だからこそ、追い求めてしまうのだ
国木田「事件が発生したのは今から3ヶ月前。盗まれた異能力は数多いが、その中でも精神系統の物が多い」
与謝野「精神系統?なぜそれなんだい?」
国木田「犯人の事なぞ俺が分かる訳ないだろう。実際、異能特務課でもこれは大きな議題に上がっている。白川」
呼ばれてハッとし、持ってきたノートパソコンの画面を見る
そこには俺が調べた今回の事件の資料が細かく乗っている
『はいはい。今の所、盗まれる以外での被害はなし。犯人の意図は全くつかめないが、犯人の異能力もしくは、仲間の異能力で盗んだ力が使えるとなるとかなり厄介になる』
中島「そんな事が出来るんですか?」
『不可能じゃないさ。実際、「異能者自殺事件」では死んだら異能がコレクションになるんだろ?だったら、それが使える異能力があってもおかしくないし、「盗んだ」とされるなら逆に使えないと考えるのはおかしいだろう』
江戸川「なるほど。じゃあ、裏社会はどうだい?」
中島「裏?」
太宰「私たちが見て暮らしている世界を表とするならば、マフィアや闇市等は裏社会と呼ばれる。表社会で何も起こらないのであれば、ニュースさえも取り扱われない謎の事件が起きているか、裏社会で何か起きているかだけさ」
『世の中に精神系統の異能が使える異能力者はたくさんいる。その中から犯人を厳選しても無理だ。ここ数日は精神に異常がある人間が増えてきているが、犯人の仕業とも考えられない』
江戸川「なるほど。これは厄介だね」
国木田「と言う事で、異能特務課は俺たちにこの事件の首謀者の確保の依頼が来ている。もしもの場合は殺せとの事だ」
あーあ、仕事が面倒になりそうだ
会議が終わって俺はすぐにどんな精神系統の異能が盗まれたのかチェックをしている
相手の目的は分からない
けど、犯人だと思われる人物とは接触している
これが裏目に出ないといいけど
太宰「どうだい?」
『ん?なにも分かんないよ。全く、面倒な仕事だな』
国木田君は情報収集のために協力者の元へと向かい
中島君と泉さん、谷崎兄弟は聞き込み及び周辺調査
太宰はなぜか俺の監視役とされている
太宰「少し休憩をしよう。脳を休ませないとオーバーヒートするよ」
『俺は機械人間じゃないよ』
机の上にはよく冷えているであろうアイスコーヒーが置かれ
太宰君は隣の人の席に座った
太宰「何を見ていたんだい?」
『盗まれた異能力の特性かな?盗んだ物が知れればある程度の目的が分かるかもしれないと思って。まあ所詮空振りさ』
太宰「どうしてだい?」
『よくよく考えれば盗んでも使わなければ分からないだろ?だから犯人がどんな異能力を盗んで使っているか正確には分からないのさ』
太宰「なるほどね」
ストローからアイスコーヒーを飲み込んで考える
この選択を間違えれば人類は滅亡すると言っても過言ではない
アイツらの目的は分からない
分かったところでこんな俺なんかじゃ何もできない
太宰「氷月君」
『ん?何?てか名前で呼んだ?』
考え事をしていると隣から楽しそうな表情と共に俺の名前を呼んだ
太宰「え?名前を呼ばれるのは嫌いかい?」
『うーん、名前なんて永久に言われた程度だからよく分かんない。けど、公の場で言われるのは嫌いだ』
大勢いるところで自分の名前を呼ばれるのは好きじゃない
なんか、恥ずかしいというか、照れるというか
兎に角嫌いだ
太宰「じゃあ、2人きりの時はいいんだね?」
『え?あー、うーん、いいよ』
太宰「じゃあ、これからもよろしくね。氷月君」
『分かったよ。太宰君』
太宰君から名前を呼ばれて少しだけ嬉しい気持ちになる
永久に言われた時とはちょっと違うようなそんな感じだ