いならなかったモノ

□05.休日の過ごし方
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家入のおかげで休日が増えた

朝6時半、カーテン越しの明るさで目が覚めた氷月は毎日この時間に起きる

五条に抱きしめられているのを器用に抜け出し、リビングへと向かう

洗顔をしにまずはキッチンによってから換気扇を付け、洗面所で顔を洗い歯を磨き、自室の部屋でパジャマとして使っている服から部屋で自由に動く部屋着に着替える

炊飯器のボタンを押し、その間に味噌汁を作る

今日の朝食は和食

鍋に水を入れ沸騰させ、フライパンを準備する

冷蔵庫の中にある昨日買って来た鮭を取り出し、余分な水分をキッチンペーパーでふき取る

包丁遣いは何処までも丁寧で綺麗

次々と解体していく間に水が沸騰し、火を消す

ダシ、味噌で味を加え、ワカメと千切りにしたネギをたっぷり入れ、少しだけ熱を加えて味噌汁は完成

フライパンにそのまま鮭の切り身を2つ乗せる

そこから油も引かずに中火でじっくりと熱を通し、切り身に白っぽくなって来たらひっくり返す

そこからフライパンに蓋をした瞬間、寝室の扉が開き頭ボサボサ眠気顔で氷月の後ろへとやった来た

背後から抱きしめ、右の肩口に己の額をグリグリと当て、甘えている

寝ぼけた五条がする行動の1つだ

『五条さん。もう少しで朝食が出来ますので、その間に顔を洗ってきてください』

五条「んー...」

返事が返って来た所で五条は名残惜しいようにゆっくりと離れて洗面所へ向かうのを見守る

冷蔵庫から冷えた天然水を取り出し、食器棚からコップやお皿等を纏めてテーブルに並べる

コップに天然水を注ぎ、茶わんにご飯を盛る

お椀に温め直した味噌汁を入れ、付出皿に焼いた鮭と大根おろしを乗せてテーブルに並べて行く

五条「今日は和食なんだ」

『はい。一昨日釣った鮭がありましたので、切り分けて保存しておきました。夜はサーモンの刺身、明日の晩御飯にはムニエルが可能です』

顔を洗ってサッパリした五条はそのままテーブル席に座り、コップに注がれていた水を1口飲み込む

五条「鮭って余りある?」

『焼けば残り4つほどあります。どうしましょうか?』

五条「氷月は食べる?」

『僕はこれ1つでいいです』

五条「全部焼いて」

『分かりました』

冷蔵庫から残りの鮭を取り出し、フライパンに並べては先程と同じ工程で

五条と共に朝食をつつく

五条の鮭が残りわずかなのと同時に席を立ちあがり、フライパンの中身をひっくり返し、再び蓋をする

五条「ひっくり返すタイミングが分かるんだ」

『音で分かりますが、最終的には目で確認します』

「すご」心の声が素直に出た五条はしっかりと食べる氷月を見て頬を緩ませ「どうかしましたか?」と聞かれれば「なんでもない」と茶わんを持って立ち上がり、2杯目のご飯を盛った



最終的には朝からご飯3杯、鮭5切れ、味噌汁2杯と満足した胃袋に「常識が身に着けばモテるだろうな」とソファでゆっくりしていた

五条が食べている間に食器や道具を片付け終え、夜中の間に回っていた乾燥機から洗濯物を取り出し氷月はリビングに座っては1つ1つ丁寧に且つ手早い動きをしていた

これを毎回見て「1人暮らしって大変なんだな」と何処か他人事のようにして見る事がしょっちゅうな五条である

氷月が居ない時の五条は洗濯はするものの、畳んだりしまう前に着てしまうし

ご飯は普段から外食が多いのであまり部屋にいる事はなかった

普段から居ないから、休日になるとクイックルワイパーなどで埃が溜まった床を、気分転換にトイレを掃除する程度で殆ど自炊はしなかった

掃除が終われば昼食を食べに行き、帰りに夕食を買っては部屋で映画を見る

それが五条の今までの暮らしであった
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