動物達は僕の味方
□01.不思議な事件
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上司の日頃の行いがバレ、即刻クビ
会社を取り締まる人がこれば深い謝罪と共に今までの残業代を少しずつ払うと約束し新しい上司を迎えた
腰を抜かした同僚は足首を捻ってしまい、病院で治療を受けた
何もない所でビビってコケて、大の大人が恥ずかしくないのかと罵っては
部下のその異様なビビりようを見て一番先に逃げ出した
同僚は怪我の事を話すと、その部署全員が1人ずつ呼び出されては上司の素行を何度も聞かれた
素直に話す者もいれば、「後が怖い」と話さない人も
中にはスマホでのボイスメモ等を証拠にしている人もおり、多くの証言から「無能上司」として弾かれクビになった
「あの時、ありがとな」
『何が?』
「え?あ、うーん、まあ兎に角ありがと」
足を捻った同僚は松葉杖を付きながら会社へ来ては、定時よりも少し早く上がって病院へ通っていた
「俺さ、小さい時から幽霊が靄で見えてたんだけど、あそこではなんか化け物が見えてビビってさ」
『ふーん』
休憩中に自販機へ行って缶コーヒーを飲むと、隣の同僚にも手渡す
「ありがと」何度も聞いたお礼に耳を傾けて壁に凭れながら飲む
「お前が間に入ってくれたおかげでほんの少しだけ落ち着いて。けどお前が襲われた時、なんかお前の周りに光が浮いてて、その光に当たった化け物が遠くに飛ばされるのを見て、安心した」
『今は?その光、出てるの?』
「うーん、見えない。明るいからかな?それとも気のせいかもしれない」
『そうなんだ』
実際、あれは気のせいなんかじゃない
アイツを守るために展開した術式
コイツにはそれが見えていた、今度からコイツと関わるのやめておこうかな
氷月は胸の中で小さく呟き「仕事、戻ろっか」松葉杖をついた同僚に言った
夜の街に出れば高層ビルの上で眩しい夜を何度も過ごす
上司が変わってから、生活にゆとりが生まれ、早くに家へ帰るから暇になる
普段しない料理を眺めにやったり、温泉の湯船にゆっくり浸かったり
そんな温泉で色々な心霊スポットの話を聞くと「結構あるんだ」と他人事のように思っては、「同じ部署の同僚が襲われてないといいなー」と胸の中で言った
冬で寒い中、白コートと白いマフラー、長い水色の髪は三つ編みにしてコートの中
部屋に戻り、風呂セットを置いては夜の街に出かけた
今日もビルの上で過ごし、夜空を見上げる
今日はこれから雪が降ると言われ、痛みのある低い温度の風が頬を何度も刺した
ビルの南側は路地裏で最近ではその路地裏にある廃ビルでお化けが出るそうな
襲われていたら助けようかな...、と考えていると見知った同僚(昼とは違う)を見つけた
廃ビルの中に1人で入って行き、その後にツンツン頭の男子が入って行った
『...ヤバいの?』
いかにも「呪術師」と言うような男子が行く場所、しかも同僚の入ってった後だ
下手をすれば「餌」として扱われる可能性が高い
同僚が餌として扱われ、下手すれば葬式が始まる
『うーん、後味最悪だな』
重たい腰を上げて見下ろすと廃ビル前には白髪の青年が1人立っており、あの日にあった青年だと分かる
フードを深く被り、顔がバレないように仮面をつける
バレて困るのは大いにあるだからこそ、バレないように入念にしないといけない
左手の指先に呪力を集める、小さい呪力で空気中にある水分を集め氷を作る
『氷結(ひょうけつ)』
それを握りしめ、廃ビルの入り口へ思いっきり投げる
?「ん?」
相手はあらぬ方向から飛んできた来た氷に警戒し
?「「呪術師」か。それとも「呪詛師」か」
近づこうとしたのが見え、氷月とっさに「飛んだ」
『氷解(ひょうかい)』
投げられた氷が解放され、中から呪力が溢れ出し
そこから人が現れた
?「へー、面白いね」
飛んだ氷月の隣には目隠しをした青年が立っており、それを無視して廃ビルの中に入ってく
?「狙いは、なんだ?」
颯爽と消えてった人物を追い掛けるべく、白髪目隠し男性は「楽しい玩具」を見つけた表情と共に、静かに廃ビルの中に入って行った