動物達は僕の味方

□02.面白い人物
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伏黒恵は前回の事を踏まえ、1人で屋敷へと来ていた

此処最近、この屋敷周辺で行方不明者がぞ続出しており、その調査へとやって来た

監督者が帳を下すと屋敷の中に「部屋」は存在しておらず、「生得領域」が展開されていた

伏黒「チッ、メンドくせーな」

式神の黒い犬を出し、前にゆっくりと進む

3級呪霊がわんさかといたが、黒い犬と途中で出した白い犬で倒していた

この「生得領域」を展開している「呪霊」を倒さない限り、伏黒の任務は終わらず

そしてこの事件に終止符を打つ事が出来ない

1つの大部屋へ行くと

伏黒「ッ...!」

何十人もの死体があった

腕がない物、臓物が出ている者、肉塊へとなり果てた物、爆発した者、と

濃い血の臭いに吐き出しそうになると、2匹の犬が伏黒の後ろに向かって吠えだした

その声に振り返るのは遅れ、振り返った瞬間に鳩尾に一撃を食らった

伏黒「ガハッ!」

無防備状態であったが故に身体はその一撃で浮き上がり、10メートル離れた向かいの壁にぶつかり

その地面へうつ伏せになるように落ちた

肺の空気を全て吐き出し、強打で呼吸がしずらく、またこの空気で吐き気が勝る

「あ、死んだ」と思った

人間の形をした呪霊はしっかりと伏黒の目の前まで歩いてくる

その間に立ちあがり、態勢を整えないといけないが

今の伏黒にそんな力は残っていない

?「雪原(せつげん)」

静かに響いたその声に、伏黒は覚えがあった

それと当時に禍々しいまでの床は全て白一色へと変わり、宙から雪がシトシトと降る

両腕を付いて上体だけを起こす

コツコツとブーツの音を鳴らしている方向、先程伏黒や呪霊が来た方向に視線を向けると

白いコートを来た狐面がいた

また「呪力」が感じなかった

?「あれ?またピンチなの?」

偶々散歩に来た、そんな雰囲気が感じられるその狐面は視界に入る呪霊よりも伏黒に目がいった

伏黒「ソイツッ...!」

「この前とは違うぞ」その先の言葉は強く咳き込んで出なかった

呪霊は走り出す、強い標的が現れた事に喜びながら呪力を手に込め殴る、予定だった

?「今、僕は彼と話しているんだ。邪魔しないでくれ」

呪霊の攻撃を意図も容易くいなし、呪力の込められた拳が呪霊の顎に確実に入った

ゴキッと骨が折れるような音と共に呪霊は宙に浮き、いつの間にか握られていた狐面の刀に身体を真っ二つにされていた

汚い断末魔と共にその呪霊は祓われた

綺麗すぎる動作に伏黒は言葉が出ず、ただ「見とれていた」

?「それで?ピンチ?」

伏黒「...ありがとう、ございます」

白い男性は部屋を見渡すと、その中央へ行き

胸の前で両手を合わせ

?「雪消月(ゆきぎえづき)」

呪術名を言えば、そこら中にあった死体が水色の淡い光に包まれ、風に乗るかのように消えていった

「綺麗だ」と伏黒は心の底から思う

?「僕も流石に「死体」は嫌いだからね。此処で残るよりかは「綺麗に無くなった」方がいいと思ったんだ」

「自分の惨たらしい死体なんて見られたくなんだろう?」伏黒へ近づきながら言った言葉に儚さを感じ

「いつかこの人も風に乗って消えてしまうのか」と言えずにいた

?「またこっ酷くやられたね。立てるかい?」

伏黒「あ、はい」

五条のあの時の言葉はすぐに消え去った

彼が「呪詛師」である可能性と共に

その場で立ち上がるとフラフラとよろけ、壁に背を預けてズルズルと座り込む

先程の衝撃で身体の節々に痛みが生じている

?「ほら深呼吸すれば?」

伏黒「此処は...!」

「血の臭い出吐き出しそうだからヤダ」と言う言葉はすぐに引っ込んだ

異様な雪景色があるこの空間だけ、「浄化」されている

マイナスイオンが豊富な森林の中にいるように、澄んだ空気が伏黒を安心させる

?「気に入ったかな?今の呪術は「「死」を「生」」にさせる呪術。「濁った空気は死」を意味するから「澄んだ空気は生」。「死体」は「蘇らせる」事は不可能だから、せめてもの「自然に返す」。って感じさ」

伏黒「自分の呪術を、敵かもしれないヤツに言っても良いですか?」

?「敵?僕が思ってないし、この術式は戦闘には向いてないから、別段構わないさ」

自然な形で伏黒の頭を数回撫でる

その手はとても暖かく、とても呪霊を祓える手には見えない

?「さて僕は奥に行ってこの迷惑な空間を作るヤツを殴りに行くが、君はどうする?」

伏黒「俺はっ...!」

勢い良く立ち上がった身体に痛みはなかった

それどころか「怪我なんてなかった」と思うくらいにまで回復していた

?「んで?」

伏黒「行きます。これが俺の任務なんで」

?「好きにすればいいさ」

伏黒の横にある通路を歩いて行く狐面の呪術師

伏黒は彼の保護も考えているために、行動を共にし始めた
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