動物達は僕の味方
□04.囚われた彼ら
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日の光が顔を照らし、その眩しさに五条は目を覚ました
白いベットの上で、あまり見た事がない天井を見て
腕を動かそうとすると点滴が刺さっていた
五条「...!」
冴えない頭で昨日の事を思い出す
飛び起きて全身に鈍い痛みが走ったが、気にせずベットから降りる
上半身が包帯で巻かれ、下半身には昨日のズボンが履いてあった
?「えー、縛りかい?じゃあ、ハートの9」
?「ハート?...ごめん、Qしかないや」
?「じゃKスキップで、次は君だ」
?「え?また僕?」
此処が保健室なのは理解出来た、シャッと勢いよくカーテンを開ける
真ん中の机には3人が囲んでおり、トランプをやってる最中だ
『よし!1位』
家入「また冥冥さんと一騎打ちか」
冥冥「白川君は上手だね」
『え?僕、さっきまで大富豪知らなかったけど?』
こっちはボロボロで戦ったのに、と少し不機嫌になりながらも
丁度氷月の背後を取ってる感じの五条は静かに近づき、肩に腕を掛けた
五条「楽しそうだね」
『僕、トランプするの久々なんだ』
五条「驚かないんだ?」
『さっき勢い良くカーテン開けただろ?』
家入と冥冥の一騎打ちを見ながら氷月は五条の言葉に答える
『しっかし、随分とボロボロだね?大丈夫?』
五条「僕は氷月にやられたけどね」
『「遊び」なんて言ってくるから、僕も調子に乗ってしまったよ』
「すまないねー」と謝る気0の謝罪を受け取り、冥冥の2位で大富豪の決着がついた
五条は家入から代わりのシャツ、スマホ、サングラスを受け取ると、近くにあったパイプ椅子を引っ張り、長い足を組んで腰かけた
家入は今から面倒な話が始まると思い、時計に目をやり「今は11時かー」と他人事
冥冥は今から話す事を全て聞き、夜蛾に伝えなければならないので真面目に聞く姿勢に
氷月はパイプ椅子で器用に胡坐を掻き、いつの間にかいたホーホーを乗っけては撫でて甘やかしていた
五条「あれ?ホーホーちっさくない?」
五条が見た昨日のホーホーは中型までの大きさだったのにも関わらず、今は小型の大きさまで小さくなっていた
『呪力が送れないから、「ホーホー省エネモード」なのさ』
「ほら、ここ」保健室で場違いなコートはないが、それでも白のインナーで心臓の上に「呪力を封じる札」が張られていた
『トランプするから邪魔にならない所って注文したら、此処に貼られた』
笑顔で言ったのにも関わらず、その笑みは「非術師」として初めて会った時とは全く違った笑みである
あの純粋な笑顔を、どうやったらまた取り戻せるのか
五条はそれでも今からの真実を告げるも
『知ってるよ。君が寝ている間に全部聞いた。多分だけど君からの3つ目の遊びって「生きる事」じゃないかな?』
儚い笑みと寂しそうな声音でホーホーを撫でる手が止まる
不安そうな表情のホーホーが嘴で優しくその手を甘噛みしたり、自分の頭を擦りつける
五条「間違ってないよ。正確には「呪術師として生きる」だけどね」
『...ま、勝負は負けたからね。それに僕の夢が叶えられればどうでもいいよ。好きにして』
全てを諦めた目をしながら、ホーホーを撫でる手を再開させる
五条「じゃ、そうと決まれば部屋に案内しないとね。それに君は今から僕の助手。色んな所に着いて来てよ」
『構わないよ。ま、旅行だと思えばいいからね』
立ち上がった五条につられ、一緒に立ちあがる氷月、胡坐の上にいた小型化ホーホーは頭の上に乗った
『家入さん、冥冥さん。長らくトランプに付き合っていただきありがとうございます』
丁寧過ぎる挨拶と共に、五条に出を引かれて保健室を出ていく
家入「今度は飲みにいこーな」
冥冥「頑張ってね」
五条に連れられ氷月はその後ろを付いてく
途中で寄った部屋でメガネの男性、伊地知を捕まえ、車を出してもらうついでに氷月の荷物を回収した
『僕が持ってても良いのかい?』
五条「僕は怪我人だよ?」
『これ持って逃亡するかもしんないじゃん』
五条「氷月に限ってそれはない」
断言する五条と共に氷月は自分の荷物を持って車に乗り込む
五条「伊地知、彼は今日から呪術師になった白川氷月ね」
『よろしく』
伊地知「私は補助監督をしております、伊地知です」
着いた先は東京の中でもかなり高級と言われるマンションで、最上階に住んでいるらしい
連れられた部屋を見ると生活感があまり感じられない
特級術師となると各地から引っ張りだこであり、この部屋に戻って来るのも身体を休めるためなのだろう
五条「適当な所に座って」
氷月は言われた通りに近くにあったソファに座ると五条はインスタントコーヒーを淹れて来る
隣にドカッと座ると一緒に持ってきた角砂糖をボロボロ入れる
『美味しそうなコーヒー』
五条「インスタントだけどね」