動物達は僕の味方
□06.探す
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自室で式神と触れ合う事が多くなった氷月
記憶を探すために外に出て情報を入手しないといけないのだが、彼は今、その外を恐れていた
五条と共に外に出る事は大丈夫なようで、五条が外に用事がある時は散歩や軽い運動を兼ねて外に出るが
氷月はどうしてか、あの日から五条との距離を開けている
それも分からないからこそ、下手に五条は氷月に関わる事が出来ずにむしゃくしゃしていた
2ヶ月間動かさなかった身体を解すために深夜に高専近くの森林で組手をしている
五条から渡された新しい服は「狐面の術師」として活動していた時の黒色バージョンである
五条「すごい、似合ってるね」
『...うーん。自分じゃ分からないな』
笑みが少なくなった氷月、それ以外の感情なら表情に乗っけられているから問題はないが
五条は単純に今まで「何か」に対し笑みを零していた表情はどうなるのか、普通に気になってはいる
『ヤモさん?別に部屋で待ってて良かったんだよ?ピーさんと』
休憩中に出て来る7体の式神、普通式神の召喚には結構な呪力を消費するはずなのに
それが平然と7体同時に出せる氷月を「規格外だなー」と呑気に思っているのは見慣れてしまったからである
そして本来なら「お留守番代表、ヤモリのヤモさん」と「ピーナッツ大好き、白蛇のピーさん」は、北海道任務の時からずっと一緒である
頭の上に停まってるホーホーはずっと五条を見ており、なんらかのコンタクトを待っている様子に見えた
しばらくしてもう1戦してから部屋に帰った、時刻は11時57分で遅い夕食と風呂が終わった時には既に1時4分であった
朝からまた遠出の出張であるため五条はすぐに自室へ行こうとし足を止める
氷月はそれでも自室に戻って行ったのを見て心配になるも、今日はその自室のドアノブに小型化ホーホーが停まっていた
曰く、部屋の中では動き辛いため自分で小さくなって移動していると氷月が言ってた
五条「珍しいね。入るの遅れたの?入れてあげようか?」
自分の寝室の前で足を止めていた五条は氷月の寝室に近づくと羽を大きく羽ばたかせ五条の頭の上を通り過ぎ、五条の寝室のドアノブに停まった
五条「帰らないの?」
リビングの真ん中で止まった五条は振り返りざまに言うと、ホーホーは「ホッホー」と鳴く
どんな意図や考えがあるのか分からないが、五条が自分の寝室の前に行くと
ホーホーは五条の頭の上に乗った
五条「ご主人、心配してるよ?」
何度話しかけても無意味だと思った五条はそのまま寝室の扉を開けて中に入る
自然とホーホーも一緒に入って来ると、ホーホー椅子の背もたれに今度は停まった
此処でようやく理解する
ホーホーは五条へ何かしらの合図をしている事に気づいたが、どうやって聞き出そうとかと考えながらベットに座ると
――何も問題はない。我が勝手に話すだけだ
五条「...え?」
聞こえて来た若干渋い声、その方向を見るとホーホーが毛づくろいをしていた
「まさか」と思ったのもつかの間、毛づくろいが終わったホーホーは口を開く
――我が喋るのは何か可笑しいか?
「そうだ」と思い出す
彼らは元は呪霊、1体の呪力も結構あるのも忘れている
根本的な事を約1年間忘れていた自分が恥ずかしい
五条「特級?」
――我は特級呪霊「白梟(シロフクロウ)」。今は主に使える「式神」である
五条「マジ?」
特級呪霊「白梟」、宿儺が暴れ封印された数年後に発見された呪霊
基本的には人を襲う事はせず村の守り神であったが、村の1人が虐殺行為を行ったとしてそれを呪い殺し、日本中で「非道な人間」を片っ端から殺していった呪霊であ
優しい人間には一度だけ「奇跡」を与えると言われている
五条は本家で見た冊子を思い出す
――他にも特級呪霊「白狐(シロギツネ)」「白蛇(シロヘビ)」、1級呪霊「双子猫(フタゴネコ)」「波海豚(ナミイルカ)」「影守宮(カゲヤモリ)」がおる
五条「...頭痛くなってきた」
今聞いた5(6)匹も聞き覚えがあり、どれも封印に手こずり、数年前に封印が解除されていると報告を受けたモノだが
「マジかよ」と激しい語彙力の低下が五条の心情をどれだけかき乱しているが分かるだろう
五条「あー、もういいや。そんで?喋れるのって君だけ?」
――そうだな。これほどまでに流暢に放せるのは我だけだろう。特級呪霊である「白狐」話すが苦手であり、「白蛇」は片言だからな
五条「なるほど。で?なんの用事?」
――主について少々情報を渡しておこうとな
五条「へー。なんでまた僕に?もしかして「一緒にいるから」なんて単純じゃないよね?」
――当たり前だ
先程まで明日の任務があるため早急に睡眠がしたいと思っていたのが嘘のように、今ではその話に興味があった
――お前は今「呪術界最強」と言われているだけあり、実力も見て来た。それ故に、主が隠している幾つかを情報を渡す代わりに「主を守って」ほしい