動物達は僕の味方

□07.仲間
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初任務のために高専へと訪れた五条と氷月

相も変わらず氷月に鋭い視線が刺さる中、2人は高専内の建物をうろついていた

?「お、悟」

五条「あ、傑」

目の前の階段から上に行こうと角を曲がると、上から大きな人が声を掛けた

五条「いつ戻って来たの?」

夏油「さっきだよ。ようやく京都から帰って来れたよ」

階段の踊り場で2人が話しており、「夏油傑」は五条の背後に居る真っ黒な存在が気になった

夏油「もしかして、彼が君の助手?」

五条「せいかーい!ほら、自己紹介。大丈夫、傑は俺と一緒の最強だから」

『...白川氷月』

「ぶっきらぼう」と言えばいいのか「怖がっているのか」

傑は五条の肩程までしかない身長の彼の目の前にしゃがみこみ、氷月は五条の後ろに隠れた

五条「これでも同い年だよ」

夏油「え?」

『......?』






高専の車が空くまで暇な3人は運動場へと行き、五条と夏油は呪力のみを使って格闘をしていた

それを見て氷月は式神である彼らを1匹ずつ丁寧に撫でて行く

夏油「もしかして、彼が噂の「狐面の呪詛師」?」

五条「まあね」

呪力をぶつけあい殴り合っているだけだら、互いが互いに力を抜いて軽く戦っている程度

喋る余裕もあるし、考える余裕もある

夏油「それにしても呪力を感じないね」

五条「それにはちょーっとした細工があるんだよ」

夏油「へー。面白そうだね」

五条「実際、かなり面白いよ」

バコンッ、ドスッと聞こえてくる音を気にせず氷月は1人で動物をずっと撫で続けており

五条の1発が夏油に入った所で手合わせが終わる

夏油「ふー、久しぶりに手ごたえのある試合だったなー」

五条「ホント?僕は傑が京都に行ってすぐに死地を体験したよ」

夏油「え?悟が?誰に?」

五条「あそのこの彼に」

夏油「...強い?」

五条「メッチャ強い。本気出されたら多分死ぬ」

現代最強の五条が言うのだ、夏油はすぐにでもガチバトルを申し込みたいが、任務がすぐにあると言うのを聞いているので今回は遠慮する事にした

『楽しそうだったね。悟』

五条「傑とやる時は手加減しなくていいからね」

『あの時僕に手加減したのって、ナメられてた?』

五条「半分ね」

『うーん、なんか、イヤだな』

戻って来た2人に飲料水を投げ渡す

五条「嫉妬?」

『してないよ。まあでも分かるかも。夏油傑さんは悟と同じ「特級呪術師」。それに比べて階級もない僕なんかとすぐにはガチンコバトル出来ないもんな』

夏油「もしかして高専の裏側が少し抉れてるのって...」

五条「そう。僕達☆」

『俺は被害者』

久しぶりに高専の外周を車で走った時、明らかに森林破壊された地域が存在したが、まさか2人が死闘を繰り広げていたとは

『正確には五条の「赫」が地面を抉った。俺は何もしてない』

溜息を大きく吐き出した氷月の肩に五条の長い腕が絡む

夏油「私の事は呼び捨てでいいよ。同い年だからね」

『じゃあ俺も。その方が楽』

自分よりも早くに親しくなる夏油に軽いイライラを感じる五条

夏油「来たよ」

『ホントだ。悟、行こう』

五条「ふーん」

『拗ねてるのか?』

五条「拗ねてない」

夏油を置いて2人で行く、はずだった

夏油「私も連れてってよ」

五条「えー、傑はオフだろ?」

夏油「いいじゃん。それに「オフ」だからこそ自由に行きたいし、何かあれば「すぐ」に帰れるからね」

3人で乗る高専の車の中、補助監督は汗をダラダラと流して運転し、助手席の夏油とその後ろに座ってる氷月は今回の任務内容を読み

五条は騒ぎ出す胸を鎮めるのに必死であった

先に任務内容を頭に入れている五条は今回の任務に引っ掛かりを感じている

とりあえずと設定した「4級」呪術師に出す依頼内容ではないからだ

学長も「無理」と突っぱねたようだが、どうしてか負けて氷月に任務が出された

「4級術師」の白川氷月に「指定」で下されている

夏油「きな臭いね」

『何が?』

五条「こっちの話」

『ふーん。じゃあいいや』

夏油「興味ないんだ」

『あんまり。考え事すると、いつも「俺にとっての最悪」しか思い浮かばないから』

夏油「へー。じゃあ今回の「君にとっての最悪」は?」

バックミラーで後ろの人物の表情を見る

顔はずっと下を向いており、何を考えているか分からない

五条や夏油も表情だけでは分からないし、行動だけ見ても分からないが、中盤へと行けば必ず理解出来る

しかし氷月の場合、表情を見ても行動を見ても、終盤まで必ず分からないのである

『...俺と君たちが分断される事』
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