動物達は僕の味方
□09.
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1週間の休みを言い渡された氷月は自室でどのようにして暇を弄ぶか考える
最初に思いついたのはパソコンで溜まっている仕事をしようと机の前に陣取り、パソコンの電源を付ける
今まで作成した報告書を読み返し、月ごとに階級ごとに纏め、ファイルの名前には討伐した日付を入れて行く
1年で溜まった報告書の整理が終わり、USBにデータを流し込み終わって時計を見るも
『...嘘だろ。まだ半日終わったばっか』
時計は無残に午後1時を知らせていた
そこから部屋の清掃、断捨離が必要な物の仕分け、衣類の修繕、こった夕食を作っている途中で五条が帰って来る
五条「すご、メッチャ綺麗じゃん」
埃が溜まっていた床は自分の顔が映りそうなくらいに綺麗になり、あまり帰って来ないため淀んでしまった空気も少しだけ美味しくなっていた
『あ、おかえり』
五条「良い匂いするんだけど?何、今日はハンバーグ?」
『暇だったからね。やろうと思った事もすぐに終わっちゃたんだ』
五条「何してたの?」
冷蔵庫から水を棚からコップを出して席に座り、氷月の後ろ姿を見守りながら聞くと氷月は少しだけ考える素振りをして
今日やった事を色々と言っていく
溜まっていた衣服の洗濯、普段手入れをしない場所の掃除、食材の買い込み、聞いているだけで1人ではこなせない量だが
その辺は「式神と一緒にやったのだろう」とすぐに推測する
そしてとどめの一撃に
五条「今日の昼ごはん、何食べたの?」
『............空気?』
五条「はい。お説教ね」
普段やらない事で気晴らしをしていたのは確か、そしてそれらをやっていて時間を忘れて昼食を取ってない事も包み隠さず全て話す
ニコニコと少しの怒気を含んだ説教に氷月は耳を塞ぎたくなるのを抑え、仕方なしに聞いている
五条「はぁ...、君が「ご飯」の事を忘れるのはもう慣れたけど、本当に心配だから少しでも食べてよ?じゃないと、今度は説教程度じゃ済まさないかもね」
『何するの?』
五条「興味ある?」
『ないけどある』
五条「えぇ...どっち?」
「この子との会話は少しだけ疲れる」サングラスをテーブルの上に置いて額に手を当てながら天井へ向けば氷月は立ち上がって「もうすぐ出来るよ」と呑気に言うもんだから実際に「説教」よりも上の「罰」を与えようかと思っていた
此処1ヶ月近く氷月は五条と共に眠っていた
誰かの体温を感じながら眠るのにはかなりの安眠効果があるらしく、それでいてストレス軽減にもなるようだと分かったからだ
氷月から来る事がないため、毎回五条が腕を引っ張ってはベットの中に入るも、今までに見た事がないくらいにストレスによる感覚麻痺があるためか
体温があまり感じられず不安になるため「特級呪霊・シロフクロウ」のホーホーまでもを五条と氷月の身体の間に召喚している
五条「......すごく眠ってる」
目の下に浅い隈を作っている顔はまさにストレスによって眠れない日々を味わっていたため、1ヶ月は本当に酷かったらしい
頬に触れても起きず、髪を梳いても嫌がらず、手を握っても返される事はない
それ程までに今日の「やりたい事」をやって疲れたのだろう
五条「さーて、今度は何を隠しているのかな?」
クスッと微笑みながらその頬を何度か往復させ、最後は額の前髪を上げてキスをする
氷月は他人に隠し事があると、それを無意識の中で忘れようとするため、何かに没頭する
今日は家事に没頭した、仕事の時は呪霊討伐や呪詛師の捕獲に没頭していた
だからこそ、今は何かを隠している
上手く隠す事に成功すればいつも通りに戻るけど、早く暴いて楽にしてあげたい気持ちもある
五条「ねえ氷月。君の中で僕はそんなに頼りないかい?」
生きる意味を失っている氷月に何かを差し出したかった
どれも彼の興味を引くことは出来なかったが「縛り」を設けているだけ
この「縛り」が何らかの方法で解かれた場合、彼は何処に行くのかサッパリ分からない
夏油と家入にも伝えてあるからこそ、幅広く見渡せ監視する事が出来ているが
肝心の氷月自身が何を考えているか不明であるからこそ、何が起こるのか分からないでいる
ホーホー「ホッホー」
五条「お前は知っていても話せないんだな。それ程までに主人を信用しているんだね」
「いい式神じゃん」頭を撫でるとちょっとだけ鬱陶しそうに片目だけを開けている
「罰」は既に決まっている、この1週間で彼がまた「食事」を抜けばやろうとすら決断している
「明日以降が楽しみだ」と五条は氷月の身体を抱きしめて眠りに付いた