呪詛師と呪術師の狭間

□02.
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目の前の鍛錬している生徒にただただ目を見張る事しか出来ない

運動場の数段に生えている木に登り、枝を敷物にしてはそれらを見ている氷月

今日は任務がない、ただしくは同行任務がない

五条も夏油も単独で行ってしまっている

氷月は離反し呪詛師となった事から、五条が居ない日は高専に身柄を拘束されるのが日常であった

?「...何してるんスか?」

『何って「見学」だよ。僕の事が嫌いなんだろ?なんで来たの?』

枝の下にはジャージに着替えた伏黒がおり、運動場を見ながら意識は氷月に向けていた

伏黒「アンタが見えたから。それに視線が鬱陶しい」

『それは済まなかったね。けど悟から頼まれているんだ。君達の心配をしていたよ』

伏黒「ッ...」

伏黒は最初に出会った時に聞かされた氷月の事で、彼を酷く嫌っていた

最初に会った時はその強さに憧れた

純粋な強さから精神的な強者に、しかし次に会った時は既に呪詛師として拘束された彼であった

憧れは消え去り、憎悪や嫌悪した

本人へ問い詰めても帰って来る答えは単純「事実だよ」とだけ

本人が寂しそうな表情をしながらいったのだから間違いはなかった

だからこそ嫌っていた、白川氷月という存在に

『早く行った方がいいよ?禪院さんが待ってる』

真希「私を苗字で呼ぶんじゃねーよ!この呪詛師...」

『はいはい。ゴメンね』

姉妹校対決に置いて彼らは特訓していた

虎杖は普通に生きているが呪力コントロールが出来ず集中してやるために別室で猛特訓している

『僕は邪魔かい?』

真希「...どうせだったら相手しろよ。お前も「呪具」使い、なんだろ?」

『悟から僕の事情は聞いてる?』

真希「まあな。それにお前が何かしても私らには「呪力」も「術式」もある」

『分かった。怪我しても知らないよ?』

真希「うるせぇ、兎に角付き合え。京都校には負けるわけにはいかねーんだ」

ストンと綺麗に降りて来た氷月は真希から渡される身長よりも長い棒を受け取る

運動場に降りて来てはクルクルと身体の周りを綺麗に回し、その感触を確かめていた

真希「どんな呪具が得意なんだ?」

『基本的には刀かな?大きさで言えば「太刀」が一番得意だよ』

真希「薙刀は?」

『時々使ってたレベルだから、期待はしないでくれ』

クスと笑うと真希が構える、それを見てから氷月がゆっくり構える

打ち身の練習の休憩に入った野薔薇とひたすら投げ続けたパンダ、それのフォローに入って来た狗巻に会話を聞いていた伏黒は

その戦闘を、氷月の実力を確かめたいと思い近くで見ていた

『いやー、何年ぶりかな。薙刀ではないけど長物を使って戦闘するなんて』

嬉しそうな声と共に楽しそうな表情を零す氷月は純粋に戦いを楽しむ姿勢になっていた

真希「何年だ?」

『うーん、軽く10年前?いやあの時期も含めれば20年弱?まあ15年前後だよ』

真希「は?アンタ今、何歳なんだ?」

『知りたい?』

真希「...勝ったら聞くわ」

煽るだけ煽り、真希の実力よりも下だった場合は五条に文句を言いに行くことを心に決め

『期待してる』

氷月の言葉を聞き終えてから距離を一気に縮めた

勢いのある突き、狙いは右肩、視線がバレバレなため届くまでの距離で氷月はどうするか考える

此処でワザと食らう、普通に避ける、自分の持っている武器で咄嗟にいなす

そうして考えた答えは

『うーん、まあ、いいんじゃない?』

真希「!」

余裕を持っていなした

真希はそのまま連続で突きをしてくるも、氷月はそれらに対して余裕で避けたりいなしたり続け、最後は伸ばし切った腕を見て

武器である棒を強く打ち上げた

伸ばし切った腕から戻そうとする時、手の指先や握力は少しだけ下がる、そこを狙った

棒はやすやすと天高く打ち上がり、その間に真希を転ばせて棒を顎に付きつけた

『僕の中では合格。君は強いよ。「呪力のない術師」の中ではピカイチだ』

呪具使いとして有名な禪院真希が瞬殺された

それどころか相手はかなりの余裕を残していた

真希「...アンタ、本当に何者?」

『僕?高専の裏切った「元呪詛師」だよ』

ニコッと微笑みながら手を差し出し、真希はそれを掴んで起き上がる

地面にしっかりと立ってからジャージに着いた砂を叩いて落とし、近くに落ちた棒を拾い上げる

「「元呪詛師」だけど腕は確か」と心の中で思っていた真希に爆弾が投下される

『言っとくけど僕、他人に色々と教えるのは無理だよ。教えるのが上手じゃないからね。体術は傑に呪術は悟から聞いた方がいいよ。実践も兼ねて』

全員「「はっ!?」」
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