呪詛師と呪術師の狭間

□03.家入硝子の過去
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家入は急に現れた1年生3人から気になっている人物について聞かれていた

それは「高専の裏切り者」「元呪詛師」「五条悟の世話係」の3大特典がついた白川氷月の事だった

家入「虎杖と釘崎はともかく、伏黒。お前は氷月さんの事が「大嫌い」だろ?」

保健室にある椅子を引っ張り出し、3人が座ったのと同時に言われた家入からの容赦のない言葉

それに対し伏黒は足元に顔ごと視線を落とし、いつも鏡のように綺麗な床を見つめた

伏黒「......2回目。会った時は「嫌い」でした。でも3回目にあった時は「大嫌い」で、なんで1回目は「憧れた」のがどうしてなのか分からなくなりました」

家入「伏黒は氷月さんと任務行った事あったの?」

伏黒「...助けて、貰いました。任務中に油断して、玉犬に攻撃を任せている最中に後ろから1級呪霊にやられて、それを助けて貰いました。五条先生から人物的な特徴を言えば「白川氷月さん」だと聞き、あの「強さ」に憧れました」

家入「...虎杖は?」

虎杖「えーっと俺は、普通にスゲー人なんだと思いました。五条先生とか夏油先生とかが信頼している人だと言っていたので、なんでなのか気になりました。確かに白川先生に関してはあんまりいい噂とか聞かないし、本人もそれに対して理解していると言うか、あんなに良い先生なのにどうしてなのか気になったんです」

言葉を掻い摘んだわけじゃない、虎杖はその辺を強くストレートに言う子供で真っ直ぐ過ぎる目は、誰の心も震わせてきただろう

家入は「素直な子だ」と思いながら視線を釘崎に移した

釘崎「始めは「とんでもない人」だと思いました。真希さんとの模擬戦で見せた強さは純粋に「すごい」と思ったし、人を褒めるのも「それだけ見ている」からだと分かりました。けどそれならどうしてその部分を他の人に見せず、そんなクソな噂に囚われているのか、気になりました」

「今年の1年生は本当に面白く、また純粋な子だな」と心の中で思い、大きく息を吐き出した

家入は思った「あの人の事を分かってくれる人が増える」それに対し嬉しさが込み上げる

今までの高専関係者は「聞いても理解出来ない」どころか「犯罪者の素性など知るか」の精神で、聞いてくれる人はおろか「白川氷月を人間」としても扱っていない

同行任務に行った時も家入を見る目は「反転術式のエキスパート」「これならばあの人は助かる」と救世主のように崇めていたのにも関わらず

氷月を見る時は「護衛役の犯罪者」「いつ殺せる?」と嫌悪で見るのが殆どで、氷月自身もそれが「楽しみだよね。僕程度の言葉で混乱する姿は」と挑発しては夜蛾にしこたま叱られるのだ

家入「私から話せるのは自分が高専に通っていた時の話だけだよ。もっと詳しく知りたかったら五条や夏油に聞いた方がいいよ」

伏黒「それでも、教えてください」

真実を追い求める強い光の宿った瞳

顔を上げた伏黒は今まで何も知らなかった己を強く呪いそうな表情をしており、他の2人は「強く信頼したい」と言う思いが伝わって来た

無言のバトル、見つめ合いが始めって5分

先に根を上げ、降参の意思と表情と声を放ったのは家入だった

家入「分かった分かった。けど長話になるからまた明日おいで。今日は2年の連中が任務からもう帰って来てるから訓練して来い。それと虎杖、間違っても京都校の連中には見つかるなよ」

虎杖「?、分かった」

そそくさと保健室から帰って行く3人の足音を聞きながら、家入は一番遠くにあるベットのカーテンを開けた

家入「......いいんですか?」

『?、何が?僕はどうでもいいよ』

ベットで仰向けに寝転がっていた氷月は窓の外を見つめながら言った

その表情は何処となく嬉しそうで、それと同時に悲しそうな目をしている

『「知りたい」のなら教えればいい。「教えたい」のなら話せばいい。僕にそれらを止める権限も権利もないからね』

いつもニコニコと微笑む氷月の表情に影が差す

『じゃ僕は任務に行ってくるよ。家入、「権限」頂戴?』

家入「...分かりました」

ベットから抜け、靴をしっかりと履いてはハンガーに下げていた薄手の黒いロングコートを羽織る

バサッと空気に触れる大きな音を出しながら、吸い込まれるように腕が入り、空気を纏いながらしっかりと羽織る

その姿は家入が氷月に対して「2番目」にカッコいいと思う姿

『今日は悟だから出番はないと思うけど、それでも「念には念を入れよ」ってね』

家入「そうですね」

正面に立ち、家入は首にある首輪に触れる

権限を解除し、呪力が溢れだす

それを感じ取ったのか、ただタイミングがよかったのか

ノックされる事無く開いた保健室の扉に、五条と夏油の2人が居た
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