呪詛師と呪術師の狭間

□04.「神童」と「呪術師」
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五条悟5歳児

彼は護衛を数人連れて街の商店街へ来ていた

商店街はただの通路として車で通り抜けるために通っているだけで、とある物を見た五条が「ここでおりたい」と言ったので寄っている程度であった

黒スーツにサングラスを掛けた厳格な男性と白髪で特徴的な眼を持つ少年は店と店の間にある狭い路地の前で降りると、3件通り過ぎた店の路地に入る

?「ん?」

五条悟の目の前には後頭部だけを長く三つ編みに伸ばした水色の毛を持つ全身真っ黒な少年と、2級呪霊が3体

黒い靄を纏うヤモリ、二足歩行で腐った肉を晒す人間モドキ、トト○に出て来る真っ黒ク○助を人の大きさ程度で幾つでも目玉がある化け物が存在しており

少年の手には1本の身長に合わない80センチ前後の刃を持っていた

柄の先に紐で野球玉サイズのガラス玉を垂らし、腰には身長に合わない螺鈿の鞘がある

?「危ないよ」

幼さの残る少し高い声音で言われ、五条の目の前に護衛役が視界を遮るように立ちはだかるも

それを後ろから少し横にずれてその戦闘を見ていた

少年は大きな刃を器用に振り回し、目の前にいた人間モドキの2級呪霊を一刀両断する

余計な動作はなく、振り慣れたように流れに身を任せて動くさまは、酷く美しく、清らかな水が狭い石の間を流れるような連想をさせられた

狭い路地でもおかまいなしに、壁に向かって走り、壁キックをする

壁伝いに攻撃のスキを伺うヤモリの呪霊も最初に足を斬り、地面に落ちた所で上から止めをしっかりと刺す

その間に目玉の呪霊は五条と護衛の目の前へとやって来ては、護衛が頑張るも虚しく、何処からか腕が生えて壁に叩きつけられた

?「あ...」

少し離れた所でその様子を見ていた少年は呆気に取られ

「に、逃げて、くだ...」

壁にめり込む形で血を流している護衛は五条に「逃げろ」と言う

五条「こんなの...」

迫りくる黒く細長い、鞭のような腕が五条に迫るも、無下限で弾いた

それに驚いた呪霊はすぐに腕を引っ込め、次に2本3本とサーカスで良く見る鞭のように連続で振るも、全てが弾かれ

?「仕方がない。術式順天「付与」・凍(とう)」

刀に付いているガラス玉が水色に光り、刀身にその明かりが移ると白い靄が溢れ出す

五条「ぐっ...」

連続で無下限を使用したため、脳にかなりのダメージが来ている五条は脂汗を垂らし、既に限界が近づいていた

それを見越してか呪霊は腕を6本に増やすとそのまま五条を捕まえるかのような動きで迫って来る

対向して無下限を張ろうとすれば、偏頭痛が襲い、立っていられない程の痛みで膝をつく

?「ホイッ!お疲れさん」

絶望的な状況に似つかわしくない声と台詞

そして五条の目の前で黒い腕が水色の氷に覆われて残し数センチと言う所で止まっていた

五条の横に少年が立っており、頭を押さえる五条を見て

?「子供はすぐに帰った方がいいよ。彼はー...、まあ、大丈夫でしょ」

刀を柄に戻し、その横を通り過ぎようとして五条は霞む視界の中でそのロングコートを掴む

五条「い、くな...」

?「困ったな...」

しゃがんで近くなる顔に五条は見惚れた

始めた見た顔はとても印象的な事もなかったが

困ったように微笑む彼の表情を見て五条はすぐに思った

「ずっと傍に居て、欲しい」と

そこで五条の意識は途切れ、道端に倒れる寸前で少年に抱き留められていた






五条悟が目覚める、そこは屋敷の自分のための部屋の中で丁寧に布団で寝かされていた

隣にいた女中は落ち着いた様子で医師を呼びに行き、医師と共に父母が入って来る

上体を起こし、医師に指示されるがままであり医師から「うん。もう大丈夫ですね」と言われ退室していくのを見て

悟は何かを思い出して立ち上がるもふら付き、布団の傍に居た父に倒れ込んだ

父「どうしたんだ?」

悟「ぼ、ぼくをたすけてくれたひとは?」

母「護衛の藤原さんの事?あの人は今入院しているわよ」

悟「ちがう!そのひともいっしょにたすけてもらって...」

身振り手振り、身体的な特徴を言っても父母は分かってくれず、最後に母は呼び出しを受けて部屋を出て行ってしまった

伝わらないもどかしさにしょんぼりし、布団で胡坐を掻くと「おいで」と父に言われて立ち上がった

連れて来られたのは五条本家の地下室

此処ではあまり口外出来ない術の研究等をしているが、その時代は当の昔の事で、今はその書物や呪具等が保管されている場所となっていた

木造で石畳の足元、暗い中進んでいくと、少しずつ何かが擦れ合う音が響いてくる

チャリ...チャリ...と大きくなる音と少しずつ明るくなる部屋に、五条悟は目を見開いた

?「あれ?あの時の子供じゃん。良かった、無事だったみたいで」

悟「な、んで...」

天井から光が差し込み、その天井から2本の鎖が垂れ下がっていた

そこに五条悟を助けた人は捕まっており、手首に鉄の輪を嵌められて足は浮いたまま捕まっていた
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