呪詛師と呪術師の狭間

□07.物語の提供者
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昔々、ある所に2人の男の子がいました

彼らは家族の手伝いをするため、朝早くから畑を耕し、水を汲みに行ったり、洗濯、掃除、それらを協力していました

だがそんな2人は村の嫌われ者であり、英雄的な矛盾した存在

山賊が現れれば撃退し、何もない宙を指さしながら大きな声で笑ったり泣いたりしていました

そんなある日、2人は10を越えた所で自らの力について視点を置き始めました

「不思議なモノが見える」「不思議なモノが扱える」「不思議なモノを消す事が出来る」これらを知った2人は共に「探求者」として村を出て、旅をし始めました

彼らは旅をしながら「不思議なモノ」が見える同族を探し、聞き込み、自らの力を練習し、始めて満足に扱えるようになった時には40を過ぎていた

故郷である村からかなり離れた場所で老後の人生を送ろうと立派な森林の中に1つの家を建てました

50を過ぎた頃、2人は自らの家の周りをうろつく化け物である「呪霊」を何度も祓い、近い村で呪霊討伐を受け持ち、また近い村で盗賊や山賊の撃退を依頼され

呪力コントロールや術式の利用を高め合うために全力の限りを尽くしました

その頃、大きな街や交易によって繁栄している村で変死体が多く見つかるようになりました

それは老若男女問わず、好き嫌い関わらず、特にかく変死体の報告を多く受けており、村の長が2人に依頼すると、嘘のようにすぐ解決されました

喜ぶ村人に頬を緩ませるも、村の者からは「見えない何かを使える不気味な者」として国に通報され、当時の帝である藤原道長の前に突き出されました

2人は藤原道長の側近により「国を騒がせ、危機に陥れようとした罪」で、即刻死刑が言い渡されたが

藤原道長はそれを「利用」するために「死刑」から「無期懲役」を言い渡し、「呪術の研究者」として死ぬまで尽くすのであった

その時、2人は互いの事を髪色で呼び合い、信用も出来ない「人間」に足しては本名で呼び合う事は一切なかった

水色の髪を持ち、いつでも冷静沈着に物事に取り組む「スイクン」

緑色の髪を持ち、いつでも挑戦を諦めない「ミドリクン」

この2人によって「呪霊」と言う存在を確認する事が可能となり、また「呪霊」に対応する事が出来る術の使い手「呪術師」が少ない数ではあったが確認された

彼らは自らが抱える「負の感情エネルギー」を「呪力」に変換し、個人のみが持つとされている「術式」を使って「呪霊」を討伐する事が可能と分かった

一般人である者は何もない所を蹴ったり殴ったりする呪術師に不気味や不安感を抱き

はたまた呪霊がたまたま一般人の前へと向かっていた所で拳を振り上げ、一般人へと当たり暴行事件に成り果てた事から

「呪力」を持つ者以外から、その仕事を隠すための結界である「帳」が開発された

「呪霊討伐」に「呪術師」が安定した頃には彼ら2人は80を過ぎ、床に伏せる事が増え

最後は2人で「縛り」を交わし、最後を迎えた






―1つ、勝者は敗者の持つ「身体能力」「五感」「呪力」「術式」を手に入れる事が出来る

―2つ、敗者の身体は消滅し、魂は勝者に仕える「式神」とする

―3つ、勝者の目的が達成された場合は2人で消滅し、輪廻を回る

―4つ、輪廻を回った際2人は必ず同時に生まれ、同じ村に命と魂を落とされる

―5つ、魂に記録された記憶は永久に保存される

―6つ、この勝負は最低でも10を超えてから行うとされる

―7つ、以上を破った場合、どんな事があろうとも「存在」「魂」「肉体」が永久的に消滅する






2人の研究者が命と身を引き換えに出した結論に満足したのもつかの間、2人が亡くなってから15年の月日が流れ帝の周りから山賊の存在が消えていた

毎日と言っても過言でない程までに騒がせていた山賊は「小さき者」の手によって殺されていたのであった

崖上で狙いを定める者、街中で下品に笑う者、根城で酒を飲む者、その全てが

矢で頭を貫かれ、刃で斬られ、炎に焼かれ、無残な状態で見つかった

そして特徴的な頭の色「水色」と「緑色」の少年がやったと目撃情報が入った瞬間、2人の研究者に関わった者は「亡霊」だの「呪霊」だの「蘇った」だのと騒ぎ出した

日本の至る所で目撃情報があった

「街を焼き払った」「村人を殺した」「交易の品を破壊した」「食料を奪った」

しかしそれだけでは済まなかった

彼らを目撃する者は何年経とうとも肉体にあまり変化が見られず、年老う事を忘れたかのように何時でも若々しくいた

そんな彼らの事を「呪いの初期値点」と呼んだ
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