ただの学園生活をしてくれ

□1.高校生活、最初の春は大騒動
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暖かい兆しの中

異能力と言う不思議な力を操る者達が1つの学園に入り込んだ

此処は異能力を持つ者しか入れない特殊な学校

街から離れ、山の中で過ごしている

ピンクに染まった山に、真新しい制服を着こんだ新入生が次々と消えて行った



太宰「と、言うことでー、私がこのクラスを3年間見る先生だよー!」

黒いスーツを若干着崩している笑みを絶やさない先生

テンションの高さに、緊張している新入生はついていけない

生徒「「......」」

太宰「あれ?無反応はキツクない?」

1学年80人の小さな学校

毎年それなりに入ってくるが

学力はほぼ最下位と言っても過言ではない

そのため、頭のいい者や、異能力を完璧に制御出来る者は

普通の高校や専門学校、他の異能力学校に通っている

広瀬「副担任の広瀬柳浪です。よろしく」

しっかりとスーツを着込んでいる老齢は行儀よく挨拶をすると教室の後ろのほうへと行ってしまった

太宰「じゃあ、これから話す事は大事だからちゃんと聞いててね」

真面目になった太宰の雰囲気に、生徒たちは簡単に引き込まれる

が、ほんの一握りの生徒はそんな雰囲気に飲み込まれていなかった

それを見た太宰は少しだけ口角を上げた

太宰「入学説明会でも言ったように、此処には「異能力」と言う、一般人には持ち合わせない特殊な力を誰もが持っている。君たちの担任である私も、副担任の広津先生も、他の教師全員が持っていると言っても過言ではない」

この学園の入学条件

まずは、この辺りに住んでいる事が前提となり

その人物が異能力者である事が大前提となる

未熟な者から完璧にコントロールできる者までと幅は広い

入学方法は大いに変わっている

まず異能力者である事と特殊な異能力学園への入学を希望する者は政府に書類を提出しないといけない

そこから地域や学力や身体等の本人の情報を調べ、学校基準値をクリアしていれば入学が認められる

太宰「此処の目的、それは「自身に備わっている異能力の完全なコントロール」さ。せっかく身についている力を使わない選択肢だってあるかもしれない。けど、それではいけないと思った子が此処にいる。それが君たち」

太宰が手にした1つのリストバンド

白い線が真ん中を一周している、青いリストバンド

それは生徒が座っている席にある机の上にある

太宰「これは異能力を抑える効果がある異能力が掛けられているリストバンド。付ければ自分の持っている異能力を抑えられる。ここの学園を利用するにはこれを毎回付けている事が義務付けられている。さあ、つけてごらん」

生徒たちは先生の言う事に従い、その腕にリストバンドを通した

リストバンドの一部には此処の校章が刺繍がある

太宰「これは我が学園の生徒手帳の役割も持っている。校章の部分にICチップが入っており、そこから個人情報が見られる。校章の下には君たちの出席番号が書かれているし、他の学年では白に緑か赤しかないために自然と分かる。それと」

太宰は開いている手で窓を指さした

正確には学校の正門だ

太宰「この学園の正門と裏門にはゲートキーパーがいる。その人しっかりとこれを見せないと校舎に入る事は出来ない。何処に行くにもこれがいる。それを忘れないように」

太宰の気迫に息を呑む

異能力を抑え、学生手帳の役割を持つ

特殊なリストバンド

これがなければこの学園では何も出来ない

逆に言えば、これさえあればある程度の事は何でも出来ると言う事

それを知ったのは、このクラスではただ1人だけ

?「はぁ...、眠い...」

窓側の後ろから2番目の席の住人

今すぐにでも瞼を閉じてしまいそうで、首がコクコクと上下に動いている

?「...大丈夫、かな?」

それを後ろから楽しそうに、けど若干心配そうに見ている住人は冷や汗を早々に描いていた

太宰「じゃあ、他の説明もするよ」

太宰はそのまま学校について、今後の授業について

明日からの学校生活について話をした

太宰「私から言える事はこれだけ。質問がなければ、自己紹介に入るよ」

特に質問もなく、事は円滑に進む

これは太宰の予想通りであり、円滑に進みすぎて予定外でもある

太宰「次は、白川さんだね」

白川「ん?」

途中から寝ていた白川と呼ばれた生徒は何がなんだか分からない様子

周りを見ると注目の的になっている事から、予測された物は1つだった

白川は自分の席を立って

白川「我は白川氷月。学生寮に住んじょるけん。3年間、よろしく」

何事もなかったかのように自己紹介をして自分の席に着いた

太宰「次、風切さん」

風切「はい!」

前の人物を見て驚きを隠せない風切は反射的に席を立つ

風切「風切柚木です!私は電車通学をしています。3年間よろしくお願いします」

その後、次から次へと自己紹介は進んで行き

最後の1人が終えた

太宰「3年間一緒のクラス。つまらないと思うけど、その分、楽しいこともあるかもしれない。あるかもしれないと言ったのは個人の努力次第でなしえるからだよ」

「だから、頑張ってね」笑顔で言った言葉に

クラスの女子生徒は目が釘付けになった
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