ただの学園生活をしてくれ

□1.高校生活、最初の春は大騒動
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体育が終わり、40人のクラスに帰ってきたのは僅か10名

無断でリストバンドを外した者26名は生徒指導室へ

怪我をした者は保健室へ、放心状態から回復したが精神不安定者もいるため

何だかんだと無傷で帰ってきたのは10名だけ

そして、授業が始まって15分

国木田「前を向いて解かんか!白川」

白川「じゃったら、後ろの住人をどうにかしちょくれ」

風切「え?無理」

僅か10人じゃ授業にもならず、国木田の数学はひたすらに計算問題を解いている最中

白川は比較的得意な教科であり

逆に風切は不得意な教科である

そのため、国木田の目を盗んでは白川が風切に数学を教えるという構図が出来上がった

風切「氷月、これは?」

白川「ただの因数分解じゃろ。このカッコとこのカッコの中、一緒の文字と数じゃろ?これを代数に置き換えて、ただ計算するだけじゃけんよ」

国木田「何教えてるんだ!鉄線銃(ワイヤーガン)!」

懐から取り出した手帳サイズの紙

そこに掛かれていたのは「鉄線銃」の文字

鉄線銃と書かれた紙はすぐさま形状を変え、銃の姿に

そして、国木田は異能力によって生み出した鉄線銃を白川に向けて撃った



風切「ぎゃっ!」

国木田「避けるな!」

白川「無茶じゃ」

白川が避けた事により、その先にあった風切の額にクリーンヒット

そのまま風切は椅子ごと後ろに倒れると、気絶した

白川「国木田先生のせいじゃけんよ。我は自分の脅威から身を守っただけじゃき」

白川は席から立ち上がると風切の元へと行き

何も言わずにヒョイッと軽々しく風切を背負った

白川「我、コイツを保健室に運んでくるき。授業好きじゃから逃げはせんよ」

国木田「おい、ちょっと待て」

白川「じゃあの」

国木田の言葉を聞かず後ろの扉から出て行く

国木田「...はぁ。やっちまった」

残された席に向かう

風切は数学が苦手だとこの2週間でも始業式のアンケートでも書かれていたために分かっていた事

配ったプリントの問題の半分しか解けていない

白川の場合は数学が得意だとも好きだとも書いていなかったが

国木田「あの計算能力を持っているからこそ、使える異能力でもあるのか」

配ったプリントの問題は全て式と答えがしっかりと書いてあった



与謝野「なるほど。国木田先生ね」

白川「ま。我が後ろ向いとったんが悪い。じゃから、柚木はただの被害者じゃ」

保健室は既に静かになっており与謝野が休憩をしている最中であった

与謝野「脳に異常はないよ。ただ、タンコブが出来るだけさ」

白川「ならええよ」

?「でもねー。後ろ向いての授業はいけないよねー」

白川「...あのさ、与謝野先生」

与謝野「なんだい?」

白川「なんで此処で、この先生が暇してんのん?」

太宰「ダメ?此処に居ちゃ」

白川「仕事しろし」

保健室には太宰先生が居た

太宰「中也が暴れてくれたお陰で、私のクラスは半壊以上してしまっているし、中には骨折をしている生徒も出てしまった。その様子と怪我の具合を見るために此処に居たんだよ」

白川「生徒は全員、指導室じゃろ。それに情報収集も終わったんなら、上に書く報告書と保護者への報告も必要じゃけん。此処に長く滞在する意味がなかと」

太宰「あるね。今運んできた風切さんの事も、見ないとね」

白川「じゃあ、我は無関係じゃし、授業じゃし、帰るき」

まるで他人事のように保健室から出て行く白川

その背中を太宰は寂しそうに見つめていた

与謝野「アンタが連れてきた学生。頭よすぎやしないか?」

太宰「彼女の成績はまだまだ序の口。今は自分の身を守るために授業にも手を抜いている。けど、彼女の手抜きは、もうすぐで終わる」

ベットで眠っている風切の前髪を払い、与謝野が冷えたタオルを乗せる

若干赤くはなっているが、腫れはほぼない

与謝野「アンタがどんな目的で白川を此処に入れたのか知らないけど、どうにも彼女は信用出来ないね」

太宰「白川さんがかい?それはないね。彼女に行先はない。目的地もなければ帰る家も存在していない。彼女は孤独だ。この子もだけどね」

風切の頬に太宰の指先が触れる

風切は過去のトラウマから1人になりたがる事が多いが、それなりに自分で克服し

自分と気が合う人とは仲良くなっている

一方、白川はまるで友達の作り方が分からないから放置している感じ

たまたま席が近かった風切とは友達になれたようだけど、1歩間違えていれば

彼女に友達は居ない

与謝野「まさか、こんなドジッ子の風切と何を考えているのか分からない白川のコンビを大会に出すつもりかい?」

太宰「うーん、それも面白そうだね」

与謝野「真面目に考えな」
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