ただの学園生活をしてくれ

□2.梅雨の湿気は嫌いだ
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太宰sid



残り2週間

国木田君にも怒られたし、本格的に出場選手を決めないといけない

太宰「と、言う事で。今日は選手決めをするよー」

「なんの選手を決めるんですか?」

太宰「大会さ」

「なんの大会ですか?」

白川「異能力をつこうたバトル系の大会じゃけんよ」

「お前には聞いてねーよ」

白川「へいへい」

白川君は春の体育の大騒動で結構過激な事を発言したようで、クラスの大半が敵対している

そのため、彼は1人ボッチになろうとしている

太宰「大会自体は8月に入ってすぐだけど、何しろ5月の最初には出場選手を決めて、放課後に残って特訓とかしてほしいからね」

「勝つと何かあるんですか?」

太宰「生徒個人には何もないけど、県や国から学校側にお金が貰える。知名度も上がれば多少だけど学費が減るよ」

生徒自体には特にご褒美はない

けど、学校が有名になればそれなりにこっちが得する場面が増える

大会に出た子の半分は異能軍に推薦され、特に試験を受ける事無く面接だけで通れる

その代わり、病気や怪我、死亡するまで軍で働く事になる

太宰「大会としては単純な異能力バトル。参加人数は2人ペアの4組、計8名」

「それは学年全体でですか?」

太宰「いや、各学年から8人ずつ。大会のルールとしては、武器の使用はフィールドによって許可が出る事。相手を殺さない事、半殺しも禁止。異能力の暴走は敗北とみなされ、戦意喪失も敗北となる」

そもそも、まだまだ子供の彼らが異能力バトルに出ることすらも危険だ

近年、日本は異能力者の不足で他国から結構な被害が出ている

日本に上陸した外国人が異能力のトラブルを起こしただけで軽く1人は死ぬ

だからこそ、高校生に目を付け

人材を確保したいと言う、軍ならではの駒増やし

大会に出なければ出ないで、学校の存在も危うく

知名度で就職や大学を落とされる事だってなくもない

太宰「それを踏まえて、出てみたい人はいるかな?」

と説明しているのに

白川さんは机に突っ伏して寝ている

よし、挙手がなかったら勝手にこっちで決めよう

風切「大会って、どんな感じで進んで行くんですか?」

太宰「各学年に4つのトーナメントがある。1つのトーナメントに1組だから、自分の同級生と戦う事はなく、学年も分かれているから学年の差もない。トーナメントで優勝した4つの組は、最終日に4日間のサバイバルゲームをしてもらう」

「サバイバルゲーム?」

太宰「指定された空間で4日間のサバイバルゲーム。相手を戦闘不能状態にさせるか、4日間、適切な行動を取ればいい。行動、判断力、精神、身体能力、感覚が試される。そこが点数となって最終的に決まると言った感じだよ」

風切「面白そうだね!ねえ、氷月!一緒に出よう!!」

パァッと明るくなった風切さん

前に座っている白川さんの背中をバシバシ叩くと面倒そうに起きては

私を無視して振り返る

よし、もう決めたよ

白川「楽しそうかもしれんが、大会で学校の名を売るんは覚悟が必要じゃ。何よりも柚木の異能力は大会じゃとデメリットしかなかと。その上、運動は出来るが時たまあるドジで大怪我をするかもしれん。そう思えば我らが出る幕はないじゃろ」

「はい、終わり」とでも言うように前を向いたかと思えば

再び机に突っ伏す

風切「うーん、そっか。確かに私の異能力だと大会中は不利か...」

せっかくの候補もこれ、ね

白川「はあ...」

ため息が聞こえたかと思えば

白川「太宰先生」

太宰「なんだい?」

白川さんが頭を上げてこちらに質問をした

白川「試合中に持ち込むもんは、武器以外にもあるんか?」

太宰「例えば?」

白川「鉛筆とか枝とか」

「ばっかじゃねーの?鉛筆や枝がなんの役に立つんだ!」

白川「その言葉はそのまま返すき。持って生まれた異能力は様々じゃ。そん人の異能力次第で武器にもなるんじゃよ」

太宰「ふむ、別に持ち込みについては聞いてないよ。特に問題なしだ」

白川「ふーん。じゃあ、その作戦を使えば、お前さん、出れるぞ」

風切「え?」

どうやら、白川さんは風切さんの持つ異能力について分かっているみたいだ

だが、たかが鉛筆や枝程度で何が出来る?

と思ったけど

これは、面白そうだよ
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