毎日楽しく団子を食べよう

□1.ピンクの団子
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と、そんな事があった1週間後

私はまた川を訪れては入水によさそうな場所を探しては

?「ふわあぁぁぁあ〜〜...」

と、岸辺の坂道で寝転んでは大きなあくびをする彼を見つけた

太宰「久しぶりだね、白川君」

『ん?ああ、太宰君ね。今日はいい天気で日光浴日和だ』

彼の隣には1本の三色団子とすでに食べ終えた2本の棒がパックに入っていた

『食べる?』

太宰「いや、いいよ」

前に会った時と同じ格好をしている

トレーナーにジーンズ

彼のラフな格好だろう

太宰「昼寝かい?仕事は?」

『んー、仕事なんてしてないさ』

仕事なんかしていない

彼はここまで呑気に過ごしているのはなぜだろう

仕事がなければ生きていられない世界で

なぜキミはここで?

彼の隣に座っては彼を見る

仕事がないなんて嘘だろう

『元ポートマフィア五大幹部の太宰治君。なぜキミは人を殺める側から救う側へとなったんだい?』

太宰「!」

その時の私の行動は早かった

懐からナイフを取り出し、寝転んでいる彼の上に移動し、空いている方の手で彼の首を少しだけ絞めた

私の陰で顔は暗くなる

だが、彼は薄い笑みを浮かべたまま瞼を閉じては全力で日光浴を満喫している

どうしてだ

どうしてそうも余裕なんだ

『うーん、早いね。頭が切れるからこそ咄嗟の判断か。それとも友を失った悲しみを思い出さないための精神防衛か』

口は緩やかな弧を浮かべ、瞼が開かれ、薄く細められた

その目つきを、どこかで覚えている

いつだ?

探偵社に入社してからか?

いや違う

これは私がポートマフィアの時代で見た目だ

『今のキミのナイフは当たる。俺の異能力をもっても、キミの異能力で全てが無効になる。そうすれば、俺はただの人だ』

太宰「目的はなんだ?どこのヤツだ」

『そうだね。前職は、キミと同じだ』

太宰「ッ!」

『今はただの情報屋。主に異能特務課から以来が来る程度さ』

前職が一緒

元ポートマフィアの1人

誰だ

こんなヤツ、どこにいた

『俺は正体を明かす気なんてさらさらない。個人情報は死守する。キミが勝手に探してもらっても構わない』

太宰「お前の目的はなんだ」

『そうだね。桜が多く咲く川岸を、案内してほしいだけさ』

太宰「は?」

『言っただろ?俺は春の川と冬の畑が好きだと』

細めていた目元を緩くし、薄く微笑む

それは本当にただの人が浮かべる笑みだ

仄かに香る香水

この桃のような甘みは、私はどこか知っている

『あとさ。太宰君は身長大きいんだから日光浴が出来ないじゃないか。それと地味に重い。ナイフも反射して眩しい』

命の危機でこれだけの余裕があるのは本当に音ポートマフィアでかなりの実力を持った人物だ

行方不明の彼と、関係があるのか?

似ている所はさほどもない

アイツはそこまで平和に生きていない人間であり

時より見せる怒りの矛先は、嫌いな私へと何度叩き込まれた事が

彼がいなくなってからそれは愛情表現だと知った

それは、彼が孤児で虐められていたから

それが愛情表現だと思って私にした事だったのだ

『聞いているかい?太宰君。早急に降りてくれ』

太宰「......」

言われて首から手を離す、彼の上で懐にナイフをしまっては見つめる

こんな顔で、こんな声で、こんな髪色を持つ男がいたのか

私でさえも覚えていない

下っ端の割にはいい目をしている

だが

『ん?太宰君?』

首筋に顔をうずめる

この香り、やっぱり桃の匂いだ

こんな香水をつけているヤツはいただろうか

けど、どこか安心するのだなぜだろうか?

『いい年して男に抱き着かないでくれるかな?俺にはそんな趣味はないよ』

太宰「奇遇だね。私もだ」

そのまま彼の隣に寝転ぶ

さて、どうしようか

彼が何らかの情報を持っているのは事実だ

そして、それは私にとって不利益

だったら、手段は1つしかない

手元に置こう

太宰「ねえ白川君」

『なんだい?』

太宰「就職先、来ないかい?」

『...うーん、別にいいよ』

団子の入ったパックを手に取り、中から1本取り出す

ピンクの餅をこちらに向けては微笑んでいるので

お言葉に甘えてそれを頬張った

『税抜き75円の三色団子はいかがかな?俺は気に入ってるよ。これで75円はいろんな意味で美味しいからね』

白、緑と食べ終える

彼はそのまま棒を銜えながら器用に振り回しては遊んでいるようだ

『太宰君。俺は、自分のためなら、いざと言う時はキミたちを利用し裏切る。けど、そうならないためにも俺は情報を集める。これが、条件だよ』

起きあがった白川君

『なんか、キミたちといると、楽しそうだ』

満更でもない笑みを浮かべた
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