毎日楽しく団子を食べよう

□3.護衛任務、異常あり!
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白川sid



久しぶりの帰宅

と言っても、ここは数年前に使っていた仕事場である
ここは港近くのコンテナの地下

そこが俺の仕事場兼自宅であった

リビングに財布だけしか入っていない鞄を放り投げ、すぐさま仕事部屋へと入る

すでに埃だらけ

あの日を境に、俺はここが息ずらくなり逃げ出した

仕事部屋には6枚のモニターと2つのキーボードが備えられている

その机の引き出しに、用事があった

『...あった。まだ使っていない最新の機械。よかった』

目的の機会を探し当て、安堵していた

?「こちらに来ないか?」

『...来ない』

リビングから声が聞えた

鍵をかけ忘れたからもしかしてかもしれないと思ったが

気配を感じた時には既に遅かった

?「お前の異能力は使える。それを一番理解しているのはお前だろう。白川氷月」

『うん。だけど行けないね。キミの仕事に協力して俺に得がない。それに、キミの計画はあの日の再来と実現なのだろう』

?「分かっているのであれば俺がここでお前をみすみす返すと思うか?」

『そうだね。普通はないだろう。だがコレクターでなければ何の目的だ?俺にはそれが理解出来ない』

リビングから聞える声を耳に傾け

俺は探して物を1つ1つ破損していないかを確認して取り出す

?「世界のリセットをしようと思っている」

『それに俺が協力すると思っているのか?』

?「お前は恨んでいる。強い恨みと憎しみを持ち合わせ、復讐出来る力があるのにしない。それはなぜだ?」

『...何を言ってるんだ?』

アイツの言っている事に耳をかなり傾けてしまった

備品の確認よりも手が止まり、アイツがいると思われる寝室の扉の向こうを見つめてしまう

?「お前の双子が殺されているのを俺は知っている。それがポートマフィアの手だというのも知っている。あとは何がいい?どんな情報を与えれば...」

『黙れよ』

静寂が訪れる

遠くから船の汽笛が聞えた気がする

そうだ、俺は憎い

弟を殺しあポートマフィアも

逃げなかった永久も

何もできなかった俺も

全てが憎い

だがそれ以前に、はやり俺がないも出来なかった事が大きいんだろう

俺に一度憎しみが向かえば、俺の憎しみは全て俺に向かう

?「世界を変えればお前は自由になれる。憎いポートマフィアも、何もしなかった太宰治も殺せる」

『それではポートマフィアと同じだ。だからこそ、お前の話は乗れない。帰ってくれ』

?「......では予言しよう。お前は俺の話に乗り俺へと協力する。そして世界のリセットが行われる。近い未来にな」

コツコツと今度はわざと音を出して遠ざかる

『そんな話、どうでもいい』



翌日、いつもより早く出社して昨日持ち出してきた機械の整備をする

今から3時間後には打ち合わせが入り五時間後には任務開始だ

それまでには完了させていないと行けない

【お前は俺の話に乗り俺へと協力する】

備品の整備中、ずっと頭の中を支配するあの台詞

正直に言えば世界平和なんてどうでもいい

どこでも平和を望んでいるかもしれないが、それを実現する事は不可能だからだ

醜い争いから生きるための殺しまで

世界はとことん矛盾して生きているのだ

だからこそ、そんな世界にリセットをかけても意味がない

人間と言う生物が賢いバカであるなら

人間以外の生物の方がずっと賢い

毎日がサバイバルな野性の生き物は自らの危険を察知しては

その危険に巻き込まれないように逃げる事が出来る

一方、人間の方はどうだ?

例え危険を察知しても正義感などの感情を優先して行動してしまうから命を落としやすい

だからこそ、この世界に「人間」が生きていればどれだけ世界をリセットしても意味がないのだ

平和という響きはいいかもしれない

ただそれは響きだけで人間では叶えられない夢のまた夢の存在である

『夢はいくらでも見えるが、現実にするためには無限の可能性を見つけなければいけない』

そんな面倒な事、俺がするわけないだろう

人間の生命には限りがある

限りがあるからこそ自由な事をしたいのが生き物の本性であり、俺はそれが真の欲求だと思っている

3大欲求なんて所詮、生きるために必要な事だけで必ずしも守らなければならない訳じゃない

ビービーとパソコンから警告音が鳴り響いて思考と意識を現実に戻した

そこには黒背景で赤字が点滅している

ああ、やらかした

『一台リセットしなきゃいけないじゃん』

今回の任務で使う備品整備をしていると少しミスって全く必要ないプログラムを入れてしまった

その事で容量オーバーになりプログラムが中途半端だと酷く怒られた

よし、もう面倒になった

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