毎日楽しく団子を食べよう

□6.途切れた記憶
2ページ/3ページ

国木田「何を悠長に昼寝をしている太宰」

やはりソファの上で私は眠っていた

少し呆れた表情をしている国木田君が拳を握っている

私はあれに頭を殴られたのだろう

国木田「犯人の仲間だと思われるヤツを特務課が捕まえた。俺と一緒に来てもらうぞ」

仲間を捕まえた、ね

自殺していないといいけど

国木田君がそのまま部屋の出口へと向かった

既に準備は出来ていて、最後に私を起こしたようだ

国木田「白川。これを探せるか?」

『んー、時間かかるよ。内容が内容なだけに』

国木田「それでもいい」

『んじゃー、条件。これ、預かってて』

ソファから立ち上がり、前を見れば氷月君は国木田君に何かを渡した

小さな四角い物だ、遠くからじゃあまり見えない

受け取った国木田君は内側の胸元に入れ、探偵社から出て行った

太宰「何を渡したの?」

『ん?んー、黒歴史?いや、今後のヒント。国木田君に7日後に見てと言っておいて。まあ、例え開きたくても無理だけどね』

団子が2つ刺さった状態で棒を銜え

彼は国木田君から渡された紙を見ては何かを調べている

彼は事務仕事と情報収集の力がダントツ

私の過去も知られたし、敦君の過去だって知っている

他も色々と知っているけど

逆に私たちは彼の過去を知らない

知っているのは、元情報屋だという事のみ

『早く行かないと国木田君にまた怒られるよ。寝ているのに何度も呼んでたし』

太宰「へー」

全然聞こえなかった

だってそれよりも重要な夢を見ていたから

夢の内容はハッキリと覚えている

足首が浸かるくらいの浅瀬の川の中

漆黒の彼は岸にいる私に向かって話していた

話の内容も、彼の姿も、衝撃の発言も

全部全部、覚えている

『ほら、もう行きなよ。俺も、大詰めの仕事がやってくるしね』

さっさと行けと言わんばかりに

彼はモニターを見つめ始めた

そこに映っていたのは横浜の町だ



倒壊した孤児院

全てがコンクリートで出ており、崩れた瓦礫はほぼ全てが真っ赤で

ここらは血生臭かった

そう、孤児院は急に倒壊した訳じゃない

太宰「やあ、キミがこれをやったんだね」

?「......」

ああ、思い出した

これは、私が初めて彼に会った時の記憶だ

黒髪の少年

私だって少年と言う年ではあったが、彼は私よりも幼い

その少年はとても綺麗な地べたで膝を抱えていた

黒い短髪で体は全体的に細い

太宰「キミの話しだいでは生死を決める。キミは流石にやりすぎた。どうやって建物を一瞬で壊したのかはわからないけど、そんな力があるのであればキミを野放しにすることは出来ない」

彼の隣には安らかな顔で眠っているもう1人の彼がいた

それがどちらなのか、覚えていない

起きているのが黒河なのか、眠っているのが氷月君なのか

それとも逆だったのかも

太宰「答えてくれるかい?どうやってここの孤児院を壊したのか、教えて?」

膝から顔を出した

その表情は全てを敵として見る孤独と敵意の瞳

綺麗な蒼なのに、もったいない目つきだ

?「分からない。俺も、分からない」

声が聞こえるも彼らの声は似ているから分からない

これだけ血生臭い場所に居れば香りだって分からない

何もかもが似すぎている双子だ

太宰「ここから移動しよう。このまま居ればキミたち2人は死んでしまうよ。処刑台に立たされ、終わる。ここで死ぬか、私とともに生きるか。すぐさま決めるんだ」

雷の鳴る音が聞こえた

もうすぐで雨が降る、湿った臭いがするから

?「行く場所も、宛もない。あなたが俺をどうしようとも、自由にしてくれて構わない。好きにしてください」

そう言われれば問題ない

いい駒として使えそうだ

太宰「じゃあ行こう。私の名前は太宰治。キミは?」

?「俺は、......です」

名前の部分だけノイズがかかって聞こえない

口を見ても分からない

私が、覚えていないだけ?

いや違う

どこかで矛盾が生じている

あれ?あの時、私は座っている彼だけを拾っていったのか?

それとも、私は彼らを連れて戻ったのか?

思い出せない

よく思い出せ、思い出すんだ

太宰「彼は眠っているのかい?」

?「はい」

太宰「では、行く前に病院でも行くかい?」

?「いいです」

そうだ、あの時の彼は眠っている彼を背負ったんだ

そして、そのまま雨が降る中

2人で仲良く帰ったんだっけ

よく思い出せない
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ