動物達は僕の味方

□02.面白い人物
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『君は何で呪術師になったの?』

2級呪霊がわんさかと目の前からやって来るのにも関わらず、氷月は気になった事を聞いた

氷月は伏黒に生まれた時より「呪力」と関係が強かったのだろうと推測

そして彼の「呪術」は昔祖父に教えてもらった

御三家が1つ「禪院家」が得意とする「十種影法術」だと理解するのに時間は掛からなかった

伏黒「...どうだっていいじゃないですか?」

痛みの残る身体を無理に動かしながら、伏黒は吐き捨てるように言う

『そうか、君には君の戦う理由があるのは分かったよ』

伏黒「...あなたは。あなたは何故、呪霊と戦うのですか?」

『え?僕?うーん、そうだな?』

氷の小魚が目の前の呪霊に泳いでいく、呪霊全てにぶつかって壊れると氷月は指を鳴らした

ぶつかって「霜」の出来た所から全身に霜が周り、完全に凍りつくとメキメキと亀裂が入り、粉になった

伏黒は瞬時に彼を「強い」と感じた

それだけじゃない、「尋常な強さ」だと瞬時に理解する

『普段の僕は呪術師じゃなくてね、会社務めなんだ。会社の帰り道が危険だと分かってね、まあ、なんだ。僕が今戦っている理由は「普通の人間として過ごしたい」からだよ』

これだけの呪力、経験、知識があるのに

それを「普通の人間」として扱うには勿体なさすぎる

以前見かけた時、五条が伏黒に話していた

あの一瞬だけだったが、あの五条が「普通じゃないよ、彼」と言った理由が分かり

それこそ五条じゃないけど、伏黒は彼に「呪術師」として生きて欲しいと思った

『言っとくけど僕は「呪術師」なんかにはならないよ。例え「秘匿死刑」が決まっていようとね』

伏黒「!、どうしてですか!?」

2級呪霊が完全に消え、前に進む氷月に伏黒は必死に尋ねる

そして、氷月は何処か天を仰ぎながら

『僕が本当に必要なのか、分からないんだ』

消え入りそうな声で、言った

その姿は先程見た「強者の姿」は存在しておらず「今にも風に乗って何処かに行きそうな儚さ」を感じた

『...実家にさ、弟が居たんだ。今日、「呪霊」に殺された。今日の目的は「呪霊への八つ当たり」なんだ。これで死んだら「僕はそれまでだった」、もし生きていたら「死ねない理由が存在している」って思うだけさ』

「今日はその確認と八つ当たりに来ただけ」多分、笑顔だ

伏黒は瞬時に分かった

彼は泣きたいのに泣けない、悲しいのにそれを理解していない

己の無力に苛立ちや憎しみが募っている

過去の伏黒のように

「あの時」で止まってしまっている

伏黒もこの呪術会に自分の意思で入ったのはまだまだ幼い頃

姉が呪われ、意識不明になった時だ

五条が手を差し伸べたからこそ、今の伏黒が存在している

伏黒「...もし」

『さあ行こう。僕の目的ももうすぐで終わるし、君も此処から出られるよ』

先程の儚さは存在しない、ただその後ろ姿を見ていると「死を望む」ような感じがしてならないでいた






「生得領域」を展開していた1級呪霊はすぐさま片付けられた

本当に八つ当たりをしにきた氷月はすぐさま祓ってしまう

それを見た伏黒は「必ずしも「秘匿死刑」にさせてはいけない存在」だと強く思う

「生得領域」が閉じると氷月はすぐさま伏黒の目の前からいなくなる

本当に消えてしまったかのように、今日の彼が本当に存在していたのか、と

一方「梟」のホーホーを肩に乗せ伏黒の見えない位置から彼を見ていると、背後に気配を感じた

?「やあ!仕事終わりかな?」

陽気な声と余裕な態度、振り返れば氷月の予想通りの呪術師だった

『うーん、仕事と言うよりは、ただの鬱憤晴らしだよ。僕って意外と短期でね』

五条「へー、そうには見えないなー」

『まあ初対面にも等しいからね。その分、分からないさ』

住宅街の屋根の上、不審者2人が一見の家を空けて対面していた

その光景はまさに異様で不気味である

五条「その子は「呪霊」でしょ?祓わないの?」

『この子は僕の「友達」さ。数少ない「友達」だよ。祓えないさ』

五条「1人だから?」

『そんな感じ』

軽口を叩いているが、五条は彼をしっかりと「視ていた」

『その「六眼」で僕が何なのか分かった?』

五条「まあ「生きている呪術師」と言う事だけは理解出来たよ。それでなんだけど、君を殺さないといけないんだ」

『「呪詛師の可能性があるからこそ「秘匿死刑」」かな?それとも「意に従わない呪術師は呪詛師の可能性がるために「秘匿死刑」」かな?』

五条「あれ?上の連中の考えもお見通しなんて、君才能ありまくりだね」

『まあお偉いさんと言うのは「目の前の脅威を速攻で駆除したい」生き物だろ?何となくだよ』

五条「そこで相談なんだけど、君、「呪術会」に入ってみない?「秘匿死刑」はまだ取り消せる状態なんだよ。今の「秘匿死刑」は君を此方側に勧誘する脅し。意に従わなければ「本当の死刑」が待ってるよ」

『拒否権がほぼないね。けど申し訳ない。僕は「呪術会から一度足を洗った」人間だからね』

強風と共に氷月の身体は粉へと変わっていく

五条はすぐさま「移動式の呪術」を使った事を理解したが、止めるには遅すぎた

『魅力的なお誘いだけど「呪術」に興味はないんだ』

五条「残念。じゃあ次あったら、問答無用で殺すよ」

『それはいいね。楽しそうだ』

風に乗って消えていく身体

五条はその姿に「美しさと儚さ」を見て「この世の者とは思えない」感覚になる

五条「さてと、残穢もいつも通り残ってないし、困ったなー」
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