第2部 魔女の監獄≪ウィッチズ・プリズン≫

□第22話 待チ人ハ来ズ。、第23話 不穏な影、第24話 レジスタンス、秘密のアジト
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第22話 待チ人ハ来ズ。

ほしぞらイタチ「ふんふーん♪今日はお散歩日和の良い天気ね」
とある山の麓、いつにも増して上機嫌で歩くほしぞらイタチの姿がありました。
お散歩日和の快晴に心躍らせながら、そよかぜリスとの待ち合わせ場所へと向かっています。
ほしぞらイタチ「そよ君、お弁当喜んでくれるかしら」
森の音楽隊の仲間が危機に瀕しているとは露ほども知らずに、能天気に鼻歌を歌いながら歩いていました。
ほしぞらイタチ「影にー埋もれてーばかりのー私だけどー本当ーはー輝きたいのー♪」
そしてそんなほしぞらイタチにも、わくわく団の魔の手は迫っているのでした。
小林幸子「そこの貴女、お待ちください」
ほしぞらイタチ「え?…私?」
小林幸子「はい、貴女です」
ほしぞらイタチ「私に何か用かしら?」
小林幸子「貴女に恨みはありませんが、わくわくさんの命により拘束させてもらいます」
ほしぞらイタチ「…一体何を言っているの?」
小林幸子「私も手荒な真似はしたくありません、大人しく身柄を差し出していただけるとありがたいのですが」
ほしぞらイタチ「言っている意味が分からないけれど、私もここで捕まるわけにはいかないのよ。だって、そよ君が私を待っているから」
小林幸子「そうですか…残念です、同じ音楽を嗜む者として理解し合えると思ったのですが」
ほしぞらイタチ「悪いけれど、失礼するわね」
小林幸子「行かせると思いまして?」
ほしぞらイタチ「戦うつもり?」
小林幸子「元よりそのつもりです。このわくわく七賢者が一人、小林幸子が相手になりましょう」
ほしぞらイタチ「負けるつもりは無いわ、固有結界『月下夜想』!!」
小林幸子「おや、先ほどの快晴が嘘のような月夜ですね」
ほしぞらイタチ「私は月の精霊ほしぞらイタチ、貴女のような不届き者に遅れなんて取らないわ」
小林幸子「それはどうでしょうか?私の力を見ても、その威勢が保てますか?」
ほしぞらイタチ「何を…」
小林幸子「見せて差し上げましょう、紅組の最終兵器たる私の全てを超越する力を」
ほしぞらイタチ(何?彼女から漂うただならぬ力は?まるで普通の人間じゃないみたい…)
小林幸子「固有結界『幸子の世界』!!」
ほしぞらイタチ「何!?私の月下夜想が、上書きされた…!?」
小林幸子「私の能力は世界改変…。この世は私の舞台であり、森羅万象は全て私の武器と化すのです」
ほしぞらイタチ「月が、ミラーボールに…こんなのって…」
小林幸子「さあ今ならまだ間に合いますよ、大人しく降伏してください」
ほしぞらイタチ「くっ、それでも…それでも私は…!ここで捕まるわけにはいかないの!私のことを待っているそよ君のために…!」
小林幸子「なるほど、貴女にそこまで想われる彼は幸せ者ですね。ですが残念です、彼はもう貴女を待ってなどいないでしょう」
ほしぞらイタチ「どうして?どうしてよ!?何で貴女にそんなことが分かるの!?」
小林幸子「分かりますとも、私には全てお見通しです」
ほしぞらイタチ「ふざけないで、そこをどいて!!」
小林幸子「悲しいですね、ですが安心なさってください。私に付いて来れば大丈夫です」
ほしぞらイタチ「誰が、貴女なんかに!」
小林幸子「残念です…」
幸子が指先をほしぞらイタチへと向けると、ミラーボールと化した月からレーザーが放たれます。
ほしぞらイタチ「ひっ…!」
すんでのところで回避したほしぞらイタチでしたが、続け様にレーザーが放たれます。
ほしぞらイタチ「いやぁ!そよ君、助けて…!」
小林幸子「助けなど来ませんよ」
ほしぞらイタチ「どうして、どうしてなの!?そよ君、何で来てくれないの!?」
必死にレーザーから逃げ続けるほしぞらイタチ、ですがそれも長くは続きません。
足にレーザーが命中し、そのまま地に膝を着いてしまいました。
ほしぞらイタチ「そんな…どうして…どうして、そよ君…」
小林幸子「可哀想ですが、しばしの間お眠りになってください」
ほしぞらイタチ「助、けて…そ、よ、君…」
小林幸子「やれやれ、些か心が痛みますね。早く魔女さんの所へ運ぶとしましょうか」
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