第2部 魔女の監獄≪ウィッチズ・プリズン≫

□第28話 百獣の王、第29話 紅蓮の焔、第30話 始動するわくわく団
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第28話 百獣の王

りんりんネコ「うさくーん。」
つのウサギ「あっ、りんちゃん!」
りんりんネコ「今日はいい天気だねー、こんな日はお散歩日和かも!」
つのウサギ「一緒にお散歩する?」
りんりんネコ「うん!」
つのウサギ「と言ってもこころさんに森からは出ないように言われてるから見慣れた光景だけどね。」
りんりんネコ「うさ君と一緒なら何処でも嬉しいな。」
つのウサギ「ありがとう、りんちゃん。」
りんりんネコ「えへへ…。」
荒俣宏「おやおや、仲睦まじいですね。実に微笑ましい光景です。」
DAIGO「ウィッシュ!マジで妖怪じゃないッスか!」
つのウサギ「え…?この森の中に人間が入ってくるなんて…。」
りんりんネコ「貴方たちは、誰…?」
荒俣宏「頭に角の生えた小鬼のつのウサギ、そして首元に鈴を付けた猫叉のりんりんネコ…情報通りですね。」
DAIGO「どうするんスか?やっぱ捕獲ッスか?」
つのウサギ「誰だって聞いてるじゃないか!質問に答えてよ!」
DAIGO「ウィッシュ!怒られちまったッスね。」
荒俣宏「ぐふふ、そうかりかりしないでくださいよ…。貴方がたはこれから捕まってしまうのですから!」
つのウサギ「りんちゃんは下がってて!この人達、普通じゃないよ!」
りんりんネコ「うん!」
DAIGO「くぅー!かっくいーッスね!けど君みたいな子供にゃァなァ〜んにもできねェッスよ!」
荒俣宏「まあ待ってください、彼はこんなナリですが仮にも鬼ですからね。それ相応の力は持ち合わせているでしょう。」
DAIGO「マジッスか!?とてもそうは見えないッスね。」
荒俣宏「ここは私が相手になりましょう、格の違いを教えて差し上げます…。」
DAIGO「ひゅ〜!見せちまってくださいよ!荒俣さんの異能!」
つのウサギ「異能力者…?用心しないとね。」
荒俣宏「さあ、何処からでも掛かってきなさい。」
つのウサギ「行くよ!」
勢い良く踏み込んだつのウサギの鉄のような拳が荒俣宏に向かう!
ゴッ…!!
荒俣宏「どうしました?その程度ですか?」
つのウサギ「そんな、素手で防がれた!?」
荒俣宏「見かけに寄らず怪力の持ち主のようですが、たかが兎如きでは百獣の王たる私に敵いませんよ?」
つのウサギ「ライオンの、腕…?」
DAIGO「ウィッシュ!荒俣さんの変身能力が炸裂ッスね!」
荒俣宏「今度はこちらから行きますよ?ぬぅん!!」
つのウサギ「がぁっ!!」
りんりんネコ「うさ君!!」
つのウサギ「来ちゃ駄目だ!りんちゃん!大丈夫、君は僕が守るから…。」
DAIGO「健気ッスねぇ〜、早いとこ狩っちまいましょうか?」
荒俣宏「それが良いですね。」
りんりんネコ「やめて!うさ君に手を出さないで!」
荒俣宏「なぁに、少し気を失ってもらうだけですよ。」
不敵な笑みを浮かべた荒俣がつのウサギに歩み寄る。
つのウサギ「…何を、勝った気でいるんだ?」
荒俣宏「ほぉ、まだ立ち上がりますか。」
りんりんネコ「やめてうさ君!これ以上は!もう逃げよう!」
つのウサギ「僕なら大丈夫、だからりんちゃん、君だけでも逃げて!」
りんりんネコ「嫌だよ!うさ君を置いて逃げるなんて!」
荒俣宏「ぐふふ…実に面白いですね、森の音楽隊というのは。では、少し痛い目に遭ってもらいましょうか!」
ライオンの拳がつのウサギ目掛けて猛スピードで繰り出される!
太宰治「はーい、そこまでー。」
荒俣宏「な!?」
突如、荒俣とつのウサギの間に男が割って入る。
男が荒俣の拳に触れた途端、荒俣の変身は解除される。
太宰治「どうやら間に合ったようだね。」
DAIGO「何スかアンタ!?」
太宰治「私の名は太宰…、太宰治。」
りんりんネコ「太宰、さん…?」
荒俣宏「邪魔者が一人増えただけです、相手になりますよ!」
太宰治「やれやれ、懲りないね君も。」
荒俣宏「百獣の王たる私に、敵わぬ者などいないのだァアア!!」
スッ…
太宰治「≪人間失格≫」
荒俣宏「馬鹿、な…。」
太宰治「私の異能力は、あらゆる他の異能力を触れただけで無効化する。」
荒俣宏「クッ、撤退しますよ!」
DAIGO「マジッスか!?待ってくださいよ!」
太宰治「さて、私の仕事は君達を安全な場所へ保護することだ。しっかり付いて来るんだよ?」
りんりんネコ「あの、ありがとうございます…。」
つのウサギ「本当に、ありがとう。僕じゃ全く相手にならなかった…。」
太宰治「礼なら後だ。それに君は強い、自分を責めることなんてないよ。」
つのウサギ「うん…。」
太宰治「さあて、姫も私を待ち焦がれているだろうな〜。」
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