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□私はもう1度、貴方に告白する
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西君は100点を取り、GANTZを卒業した。
卒業と言う事はGANTZの中で起きた全ての記憶が消されるということだ。
私と西君が知り合ったのも、付き合うことが出来たのもGANTZがあったからこそ…だから、卒業した西君の記憶の中から私と言う存在が泡の様に消えてしまった。
西君が完全に消えてしまった後、玄野さんと加藤さんが私達の関係を知っているからすごく心配してくれて、大丈夫かと聞かれたが私は無理やり笑顔を作り、大丈夫ですと言ってGANTZの部屋から出た。
近くの公園まで走って、あったベンチに座り息をつく。
西君が卒業できた事は私としてもすごく嬉しい。これからもう命を脅かされる心配もないのだから。
嬉しいはずなのに…どうして私はこんなに泣いているのだろう。
嬉し涙ではない、涙が。
「っ…西君…!!!!!!」
私は西君と同じ学校に通っているのに、これからもしすれ違ってしまったら、私はどうすればいいのだろう。
西君の目に私が映ることは、もう無いのに。
「…っ、小鳥遊さん…」
「加藤さん…?どうして…」
ポロポロと零れる涙を拭っていると息をきらした加藤さんがいた。
「さっき笑ってたけど辛そうだったから…様子見に…やっぱり、大丈夫じゃなかった」
「あ…」
「計ちゃんも心配してたよ」
加藤さんと玄野さん、私の事そんなに心配してくれてたんだ…なんか悪い事しちゃったな。
「小鳥遊さん…余計なお世話かもしれないけど、西に小鳥遊さんの気持ち、伝えた方がいいよ」
「え…?」
西君に?記憶が無いのに私が…?
でも和泉くんも最初はGANTZの記憶が無かったのに、前も戦っていた事も、西君の事も思い出していた。だったら…
「西君は私の事、思い出してくれるかな…?」
「可能性はあると思う。だから…このまま西を好きでいた事を忘れちゃだめだ」
「うん、ありがとう加藤さん」
加藤さんと別れた後、私は家でゆっくり考えた。
だから私は学校で西君に告白しようと決めた。
西君にもう1度、私の事を思い出して欲しいから。
次の日、放課後の時間。
西君はいつも皆が帰ってから帰るから、その瞬間を待った。
昇降口を出た西君を見つけ、私は思い切って話しかけた。
「…っ西君!!!!!!」
「…誰。あンた」
「私は小鳥遊弥生です!
西丈一郎君!私は貴方が好きです!」
私はもう1度、貴方に告白する
(もう1度…あなたの笑顔を見たいから)
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