忘れない記憶の中で

□第零章
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寮長室から戻り用意を済ませた。一番のりで教室につく。

「おはようーシノ君って何時もこんなに早いの?」

聞こえた声に周りを見渡すと目が合った。
同然のように隣の列の一番前に鞄をおく。蒼井の行動に首を傾げた。
蒼井が鞄を置いた席にいつも空白の席だった。確認のために見ることもなかったクラス表を確認する。彼がいる席の所にはきちんと名前が記されていた。

「シノ君、昴さんが呼んでいたから一緒に来てくれるか?」

前と同じように手を引かれ風紀室に連れてこられた。怪しい笑みを浮かべる白木と副委員長の速水の座るソファの前に誘導される

「しの、風紀委員に入ってくれへんか?保護って言う話やったけど普通に風紀として働いて欲しいんよ」

「急なお願いで申し訳ないと思うけど、君の実力を俺たちに使わせて貰えないかい?」

疑問形で聞いているのに関わらず、既に決定されているような言い方だった。願ったり叶ったりの状況。悩む素振りの後、小さくため息をつき頭を下げた。

『分かりました。期待に答えれるように努力します』

緊急の朝礼が開かれ、僕が風紀委員に入ったことが伝えられた。批判の声と佐波君の声が響く中、委員長の一言で空気が変わり、皆は口を閉ざした。舞台を降りると会計である柳瀬遊兔と目が会う。微笑みを浮かべた柳瀬はゆっくりとこちらに近づいてきた。近くで見る彼は遠くで見るより疲労が目に見えた。挨拶を交わし立ち去ろうと歩き出した時、柳瀬の体が大きく揺れた。

「……」(会計さん!?)

疲労、寝不足による貧血だと教えられた。目を覚ました柳瀬に先生は頭を下げた。養護教諭として生徒の健康管理がきちんと出来ていなかったとのことだった。

「ちょっと、はるちゃん先生やめてよ、貧血でふらついただけだし、風紀委員君もごめんね」

「しーちゃんとけーちゃんも迷惑かけてごめんね」

「ゆう、お前の意見を聞きたいねんけどな、誰かを補佐として付けることにお前はどない思ってるん?」

「んー、出来なら手を借りたいって思うのは事実ででも生徒会はこの学校に関わることを行うからさ変に手を借りることも出来ない状況かな」

「企画案とかがその補佐からもれてみんなの楽しみを奪うことになると困るしそれに、仕事にならなくなりそう」

「なぁ、その辺全く問題ない生徒がおるんやとしたら補佐に付けることは問題ないねんな」

柳瀬との会話の最中視線を感じ、速水と目が合うと笑顔を向けられた。予想道理の言葉に愛想笑いを浮かべる。

「宜しくね、椿ちゃん」

此処から新たな物語の始まりとなる
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