忘れない記憶の中で

□第一章
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風紀委員や生徒会補佐になったからと言って僕の生活は何も変わらない。勿論補佐や風紀になることに反対するものもいるわけで、学校内に『役員が仕事をしないのは佐波の友人が裏で手を引いている』と噂流れているからこそ尚更変わるはずもない。一応風紀委員と言う肩書きがあるからこそ、表上呼び出さられ制裁を受けることはなくなった代わりに影の嫌がらせが増えた。

「しの君、何考え事?」
 
変わったことと言えば、佐波と行動を共にすることが無くなり彼、蒼井悠燈と行動をすることが増えた。勿論それは理事長からの命令である『怪我をさせた野蛮な人間を甥っ子に近づけるな』と言うものを風紀委員が律儀に守っている。そのためある1部の生徒内で今度は生徒会から風紀委員に移ったと声が上がりそれと当時に情報屋の依頼とは異なり僕や佐波に対する物申しでが増えた。
食堂での一件の後初めは片目に眼帯と言う格好から少し憐れむ視線を向けられたが日が立ち、外傷も薄れ眼帯を外すと、生徒の中では自業自得と言う形へと変わっていった。

「おーいしの君?」

首を傾げて右手の人差し指を立て左右に振った後、手を差し出した。もう1つ変わったこと言えば、蒼井と一緒に行動することが増えたため、彼が少しの手話を理解出来るようになった。

静かに食事を摂っていると周りが騒がしくなり走って近づいて来る足音が聞こえ、激しく鼓膜が揺れた。

「しのーー!」

前までは、呼ばれると何もせずに彼が来るの待っていた。今では必ず蒼井が間に入る。

「おい、佐波止まれ」

「悠燈、邪魔するな俺はしのに話があるんだ!」

「生憎、理事長からお前を東雲に近づけるなと言われている、悪いな…こっちは仕事なんだよ」

「せやな…こっちも風紀委員としての仕事なんや、ごめんな佐波」

話している間に速水がその場から連れ出してくれた。佐波は何か言いたそうに僕達に目を向けていた。

(なんだろこの違和感は…)
___
違和感を感じ始めたのは何時だったかな。気付いたら彼の態度が気になるようになった。風紀委員の彼らが僕らの間に入ると佐波は必ず僕に鋭い視線を向けるようになり、その瞳の中に困惑の様子が見えた。

「しの、親睦会参加してな」

『親睦会?』

「しの君親睦会と言うのは…」

学園の三本柱である。生徒会役員、風紀、寮長らが学園が所持している別荘に3泊4日泊まり。その間食事などを自分達で行い結束力高めると行う。今回はそれに佐波が来ると言うことで急遽僕も参加出来るように滝川が理事長に問い合わせを行った結果。僕も参加することになった。

「親睦会中佐波のことを全面的に君頼んでしまうかもしれない」

申し訳ないと頭下げる姿と裏腹にそれが参加の理由だと聞こえる。
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