さて、月霞むその夜を抜け

□四年生と時代考証
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喜八郎
「はーい。アミダくじで司会になりました四年い組の綾部喜八郎でーす」

四年生一同
(((既に不安だ……)))

喜八郎
「僕達四年生がメインで登場するこのお話は、守一郎とマツホド城を中心に繰り広げられるタイムスリップものです。夢主はマツホド城落城である70年前の過去よりやって来たマツホド忍者という設定です」

四年生一同
(((……喜八郎がまともに説明している!?)))

喜八郎
「なんで、この70年前はいつになるのか、いや、ぶっちゃけ僕らがいるのって時代的にどの辺りなのかなーってのをざっくり考証していきたいと思いまーす」

滝夜叉丸
「き、喜八郎が公の場でこれ程まともに喋れる様になったとは……成長したな……ぐすん」

三木ヱ門
「泣くなよ、滝夜叉丸……ずびっ」

タカ丸
「そういう三木ヱ門も泣いてるね」

守一郎
「うおおおっ!なんか良く分からないけど感動だああっ!!」

喜八郎
「なんか、周りが騒がしいですが、先ずはママ夜叉丸。この70年前について仮説を述べてくーださい」

滝夜叉丸
「ぐすっ、あ、ああ任せろ……って喜八郎!!フミ子ちゃんを私の顔にぐりぐり押し付けるな!」

喜八郎
「これはフミ子ちゃんではありません。マイクのフミ・デ・エコーちゃんです」

滝夜叉丸
「分かった!分かったからもう少し顔から離せ!……はあ、失礼しました。では、70年前の仮説についてこの私、四年い組の平滝夜叉丸が華麗に説明させて頂きます!」

〈周囲にバラのエフェクトが広がる〉

滝夜叉丸
「ずばり!【70年前は1505年、永正二年】だと仮説いたします!!」

喜八郎
「根拠は?」

滝夜叉丸
「それは今から説明しよう。まず、この仮説の主軸には、我らが同輩、浜守一郎とその曾祖父殿の設定があります」

守一郎
「え、俺?」

滝夜叉丸
「左様!守一郎は曾祖父殿に忍者の修行を着けて貰っていたが、それは少々時代遅れのものだったというのが公式の設定にある。守一郎、お前は石火矢等の扱いはしたことが無かったろう?」

守一郎
「ああ。石火矢や鉄炮……そういう火薬を使った武器を学ぶ為に俺は学園に編入したんだ」

滝夜叉丸
「この石火矢……日本初の大砲と呼ばれ、三木ヱ門も小型の銅製石火矢のユリ子を所有している。その内のひとつに忍たまアニメ映画第一段にも登場し、史実では大阪冬の陣にもその威力を発揮する!別名」

〈何処からともなく、大河『真○丸』のテーマソングが流れ出す〉

三木ヱ門
「国崩し!!またはフランキ!これの伝来がいつであるかが前述の仮説に大きく関わっているのです!」

滝夜叉丸
「私の説明に被せるなバカヱ門!」

三木ヱ門
「煩いっ!此処からは専門である僕が説明する!構わないよな司会!?」

喜八郎
「はいはいどうぞー」

三木ヱ門
「ぶっ!だから踏鋤を押し付けるなアホ!……はい、では此処からは過激な火器を扱わせれば学園一のアイドル。四年ろ組の田村三木ヱ門が説明致します!」

喜八郎
「フミ・デ・エコーちゃんです」

三木ヱ門
「ああ、うん。分かった……(咳払い)さて、守一郎の曾祖父殿が国崩し等の過激な火器を御存知でなかったという事は、曾祖父殿が現役の頃は国崩しの伝来以前と考えられます」

タカ丸
「あ、質問、質問!」

喜八郎
「どうぞタカ丸さん」

タカ丸
「国崩しの伝来って確か【1576年、天正四年】って説が無かった?じゃあ、今は天正四年って事?それだと【70年前は1505年、永正二年】仮説と微妙に計算が合わないんだけど……」

守一郎
「本当だ、天正四年が今だとしたら、70年前は1506年ってなる筈」

喜八郎
「そこんとこどうなんですか?」

三木ヱ門
「うん、良い質問ですよタカ丸さん。まず最初に言っておきますが、本編での我々がいる時代は天正四年とは設定していません」

タカ丸・守一郎
「「え?」」

三木ヱ門
「じゃあ、聞くが守一郎。国崩し伝来が天正四年として、その年の内にほぼ全国に普及し、一学生である僕までがこれらを扱えるようになるなんてあり得ると思うか?」

守一郎
「……ああ、そうか。『今』は伝来から先、各地に石火矢等過激な火器が普及した時代って事か」

タカ丸
「でも天正四年以降が『今』だと益々計算が合わなくなるよ?」

滝夜叉丸
「……そうか」

喜八郎
「滝夜叉丸が何か気付いた様です」

滝夜叉丸
「喜八郎、フミ・デ・エコーちゃんを此方へ……三木ヱ門。お前、国崩し伝来を天正四年と見ていないな」

タカ丸・守一郎
「「え!?」」

三木ヱ門
「ふん、滝夜叉丸の癖に鋭いではないか……御明察!この物語の時代考証は【国崩し伝来は1551年、天文二十年】であると設定されているのさ!!」

タカ丸・守一郎・喜八郎
「「「な、なんだってー!!?」」」

喜八郎
「どういうことなんだミキバヤシ!」

タカ丸
「喜八郎がノリノリだ!」

滝夜叉丸
「このノリの良さは間違いなくあの委員長殿の影響だな。まあ、鋭いもなにも、そういう説は実際あるからな」

三木ヱ門
「まあ、それもあるがそもそも【国崩し伝来は1551年、天文二十年】説を取ったのは、管理人が【当サイトの全連載における『今』は1575年、天正三年かその前後】に設定したいからでな」

タカ丸
「成る程、天正三年を『今』にするなら天正四年が国崩し伝来って考えると時代が合わないんだね。でも、天正三年を『今』にする意味は?」

守一郎
「あっ、そうか!」

喜八郎
「今度は守一郎が何か気付いた様子です」

守一郎
「この時代考証にはタソガレドキも関わってるんだな!」

三木ヱ門
「そういうことだ!よし、同じ組のよしみだ。此処からは守一郎が説明してくれ!」

喜八郎
「はいはーい。ではフミ・デ・エコーちゃん、ゴー」

守一郎
「此方の管理人は、タソガレドキのモデルは織田であるという設定を採用しているんだ。」

滝夜叉丸
「タソガレドキのモデルが織田か……確かに良く耳にする説ではあるが、それが何故天正三年と繋がるんだ?」

守一郎
「それは、タソガレドキ軍に城主が所有する鉄炮隊があるからだ」

タカ丸
「原作では42巻、アニメ映画第二段にもなった園田村の一件で鉄炮隊の隊長が出ているね」

守一郎
「史実での天正三年は長篠の戦いがあった年だ。この長篠の戦いでは、織田軍が自軍の鉄炮隊を用いて武田軍に対し大勝利を納めている。これ以降各国の武将達は自軍の鉄炮隊を持ち始めるんだ」

三木ヱ門
「そう、其処に繋げてみたんだよな。因みにこの辺と、照星さんがおられる(強調)雑賀衆がモデルである佐武衆を交えて考えると中々ヘビーな事実が……!」

〈再び『真○丸』のテーマソングが流れ出す〉

タカ丸
「ちょっとストップストップ!照星さんについて語りたい三木ヱ門の気持ちは分かるけど話が脱線するから!守一郎、続けて」

守一郎
「あ、ああ……。で、【『今』は1575年、天正三年】に設定した訳なんだが、それを踏まえて【国崩し伝来は1551年、天文二十年】とすれば諸々の辻褄が合うんだよ」

タカ丸
「えっと、『今』は1575年で、国崩し伝来からは24年後の世界って事かあ」

守一郎
「ああ、それなら三木ヱ門が好きな過激な火器が充分普及しているのも分かるし、さっき出て来た佐武衆、史実では雑賀衆もまだ力を持っている頃だしな」

滝夜叉丸
「そして、マツホド城落城は『今』=天正三年より70年前なので、最初にこの私が述べた【70年前は1505年、永正二年】となる」

守一郎
「そういうことだ!更に言えば【国崩し伝来は1551年、天文二十年】より46年も、更に更に!【鉄炮伝来の1543年、天文十二年】より38年も前がひい爺ちゃんの現役時代って事になるんだ!!」

タカ丸
「公式プロ忍の最年少が18才の利吉さんだからそこから考えても、国崩しが伝来した頃のひいお爺さんは60才以上ではあるって事かあ」

守一郎
「ああ、流石にひい爺ちゃんでもその年には戦列を退いているだろうし、鉄炮伝来の頃だって56才だ……火器や火薬などの過激な武器について良く知らなくても仕方無かったんだ!!だから今は此所で皆と沢山の事を学べて俺は嬉しいよ!」

三木ヱ門
「因みに【国崩し伝来は1551年、天文二十年】説は諸説ある内のひとつです。色々と根拠となる資料はあるのですが、その辺の説明は長くなる上にそもそもこの時代考証は本編に深く関わる部分でもないので説明は省略させて頂きます」

喜八郎
「はい、なので、この物語の時代設定としては、

今……1575年、天正三年

70年前……1505年、永正二年

『今=天正三年』に関しては拙宅全連載でほぼ統一

ということでお願い致しまーす」

四年生一同
「「「お願い致します!!」」」



※……長々と書かせて頂きました。次ページより纏めと補足です。

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