黒子のバスケ

□鳴かぬ蛍が身を焦がす
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「は、花宮さん…」


「ああ?」


「あの、いったいどちらへ…?」


花宮の運転で、
暮れなずむ山の中をドライブ中。
…なんて、そんな楽しい気分ではない。

夕方いきなり電話してきたかと思えば、
こちらの都合など聞かずに、
お前暇だろ?ちょっと付き合え、
ときたもんだ。

確かに暇だったけれど、
相変わらずの自己中っぷり。

一部の人を除いてこの性格を知らないんだから、
本当上手く立ち回っているなと思う。

迎えに来た花宮に、
どこに行くのかと訊ねたが、
返事はなし。

代わりに、
色気のねえ格好だな、
と鼻で笑われた。

そんな私のスタイルは、
Tシャツ、パンツにスニーカー。
どこに行くかわからないのだから、
これが一番妥当だろう。
腹は立つが、
言い返すとこの先、
何をされるかわからないので、
ひとまず呑み込んだ。

走り出した車は、
どんどん人里離れた方へ。

太陽が沈むのに合わせるように、
山の奥へと入っていく。

その間会話はなし。

次第にこわくなって、
冒頭の質問を花宮に投げかけたのだ。








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