短いの

□四次元
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時間軸というのは、四次元にあるのだという。

直線の中は一個の座標で、面の中のは二個、空間の中にあるのは三個で、ある一点を定められる。
どうやら〇次元空間というのもあるらしく、それはただ一つの点か、またはその限られた数で決められた集合のことをいうそうだ。


時間軸というのがあって、そこの座標を求めれば、世界はその時の姿をただ一つ見せる、というのか。
ただ、さてはて、この時間というものは、何かとてつもなく大きな力を持っているようでならない。

ただ時間というものがあってこそ、ものは形を変えられるのである。
どんなエネルギーを持っていても、時の変化がなければ何も変化は生まれない。

時間軸に沿ってその値が増えていくからこそ、月はまわり、投げたものは飛んで行き、我々は歩いている。
リンゴは木から落ち、光は進み、私たちはそれを認める。

時が変わる力を以て、あの人参を構成する炭素が私の喉を通り、私の体をつくり、垢となり糞となり、何か小さな生き物の身となることができ、
時の力を以て人は背を伸ばし、学び、思いはうつろい、私は永遠の不変を願うのだろう。


不死の身はさも時間から切り離されたもののように思われるが、
それはうつろいゆく時間の中に存在するのだから、
その時間の力を以て、
私の心をあんなにも揺さぶるのだ。


私は到底、時が点、線、面、空間ときたところの次におさまる程の
小さな力しか持っていない、と思うことができないのである。
時間軸は到底、たったの四、という目と鼻の先の次元にあるとは、微塵も感じられないのである。

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