百合

□IとUとOとJ
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 なんとかやっつけて急いで教室に戻ると、そこには愛衣が席に座っているだけ。
 夕焼けのオレンジの光が窓から差し込んで、顔の半分は影にかくれてる。
 そのまままっすぐ前を見つめる目には……あれ? なんかすごくいいシチュエーション?

 いやいや、それは妄想。
 抑えて、笑顔で、いつものように、

「いやー、お待たせしました〜」

「待ってたよ」

 いつものように、

「待った分おいしくなってるかもよ?」

 ハート形のを取り出して、いつものように、

「はい、おいしいの。特別なんだから」

「……ありがと」

 いけた!!

「いま開けて、確認しちゃって!」

 あとは安泰、昼間も楽しみにしてたからすぐに開ける……
 かと思ったら、愛衣は受け取った箱を見つめてる。
 それから両手で胸元まで持ってって、今度は、目を見て、

「ありがとう」

 ……いつもよりずっと大人っぽくて、どきっとした。
 愛衣は微笑んで、どうしたんだろう、「あとで食べるね」とバッグの中にしまうと、入れ違いに小さな手さげ袋を出す。
 え、それは、もしかして……


「本命。受け取って、ください」


 …………え?


「好きです。付き合ってください」


 ありえないありえないありえない……これ現実?

 愛衣は一瞬驚いたような顔をしたけど、もう一度こっちを見つめ、私の目とあわせる。

 はっきりとした声で、

「私、梨沙のことが好きなんです。
 恋人として、付き合ってほしいと思う『好き』です。
 チョコ、受け取ってください。」
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