access HIRO×DAI小説

□STAY MY LOVE
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 〜H side〜

 車内のデジタル時計がAM.03:00を過ぎる頃、タクシーがマンションの前に着いた。

 何気なく自分の部屋の窓を見上げると、カーテンの隙間から細く光りが漏れている。

 清算を済ませて車から降り、マンション入り口で暗証番号を押して、自動ドアがやっと一人通れるぐらい開くのを待って滑り込む。

 一階で待機していたエレベーターに乗って、階ボタンと閉ボタンを素早く押し、上昇する箱の中で階表示を見上げる…。

 ポケットを探って鍵を取り出し、エレベーターの扉が開くのを待って部屋の前まで走る…。

 ふと部屋の前で立ち止まり、焦っていた自分に苦笑しながら髪の乱れを手櫛で直す。

(…なんだかカッコ悪いよな…)

 そう思いながら鍵を開ける。

「ただいま。」

 声を掛けてみるが期待していた返事は帰ってこない。

『忙しい…逢えそうにない…』

 寂しげな一昨日の電話越しの声を思い出した。

(…今朝は遅刻しそうで電気を消し忘れたのかもしれない。)

 そう思い、靴を脱ごうとして視線を足元に下ろすと見慣れない…でも誰の物だか分かる靴がきちんと揃えておいてある。

 靴を脱ぎ、鍵を閉め、チェーンを掛ける。

 リビングへ続く扉を開けるとソファーにもたれ掛かり、脱ぎっぱなしにしていたジャケットを掛けて眠っている姿が見えた。

 そっと近付くとローテーブルの上に見慣れた字で書かれたメモが置いてあった。
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