神様の手違いで異世界転生する羽目になる系夢小説ってあるじゃないですか
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跡部様に手を引かれて辿り着いたのは豪華な椅子にシャンデリア、綺麗なカップが並んだ棚、大きなテーブル
これは、予想するに、完全に想像だけど、氷帝学園生徒会室、なのでは…?
「おい、突っ立ってないで座れ」
「え、あ、はい!失礼します」
わぁー!ふかふか!何このソファー!
よく夢小説でヒロインが押し倒されてるやつじゃん!
いや言ってる場合じゃないな、ここに来るまでに誰ともすれ違わなかったけど授業中なのかな
そういえば時間を把握する手段が無い、携帯とか持ってないのか私
「単刀直入に聞くが、お前この辺の人間じゃねぇだろ」
うーん、それは私も知りたいんだよね、まずここが本当に氷帝学園なのか
とりあえず跡部様は色々頭が切れそうだからこれは多分素直に一回死んだ事言った方が話が早いかな
「今から非現実的な事言いますけど、私の話聞いてこいつ頭可笑しいなって思わないでくださいね」
「……分かった、話してみろ」
向かいのソファーで手を組んで少し前のめりになって話を聞く姿勢になってくれた跡部様は少しだけ眉間に皺を寄せた
きっと真面目に聞いてくれようとしてる、この人にならきっと全部話しても大丈夫だろう
「私、一回死んだんです」
「は?」
「だから前置きしたじゃないですか、一回死んだんです、神様の手違いで、そんで元居た世界に別れを告げてこの世界で新たな人生を歩む事になったんです」
自分で言ってて馬鹿馬鹿しいというか、やっぱり非現実的過ぎるけど、全部事実なんだしそんな眉間シワシワにされても困ります
「……要するに、お前は別の世界から来たって事か」
「簡単に言えばそうですね」
そう、所謂トリップ物の夢小説展開ってやつ、まさか自分がそんな事経験するなんて思わないでしょ
視線を足元に落とし真剣な表情で考え込んだ跡部様はこんな状況でもやっぱり格好良い
暫く黙り込んで眉間の皺を深くしている所を見ると私の言った事を噛み砕いているんだと思う、そりゃ意味分かりませんよね私も意味分かんないもん
あとさっきからなんだか違和感を感じてるんだけどなんだろうこのモヤモヤ、この人は跡部様なんだけどやっぱり私の知ってる跡部様じゃない気がする
「眉間、皺寄ってるぜ」
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