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□まずは、お友だちから
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青い空白い雲、蝉の鳴き声、待ちに待った夏休み、な訳が無かった

周りはみんな彼氏がいて、いない子は部活で大会に向けて毎日練習

彼氏もおらず帰宅部、お察しの通り何の予定も無い私は終業式を終えとぼとぼと生徒玄関へ向かった


「夏休みなんか要らないっつーの」
「俺は夏休み楽しみだけどな」
「……幸村くんか、びっくりした」
「その割にはリアクション薄いね」
「全てはこの暑さのせいだよ」


音もなく現れたのは学年一のモテ男幸村精市、何を考えてるか分からない、ミステリアスな所が良いと友だちが言っていた


「今日は部活無いの」
「うん、ねぇみょうじさん、お祭りって行く?」
「来月あるやつでしょ、友だちと行く予定」
「ふーん、そっか」
「自分から聞いといてふーんは無いだろ」


靴を履き替えながら興味無さげに聞いて来たけど、私が誰とお祭りに行くか聞いてどうするんだい幸村くん、一緒に花火見ようとでも言うのかい

彼女がいるという話は聞いた事無いけど、きっとお誘いも沢山されてるだろうし、モテる男は余裕だな


「幸村くん夏休みの予定めちゃくちゃ詰まってそう」
「うーん、ほぼ毎日部活かな」
「へー」
「聞いといて興味無いんだ」
「さっきの仕返し、じゃあね幸村くん、良い夏休みを」
「あっ、……やっぱり良いや、またね」
「……なんだそれ、じゃあね、バイバイ」


玄関を出ようとする私を呼び止めた幸村くんは一瞬眉間に皺を寄せた

何だよ言いたい事あるなら言えば良いのに、気になるじゃないか

モテ男幸村精市の後ろ姿を見送ると炎天下の帰り道、コンビニに寄り道してアイスを頬張りながら帰宅した


* * *

夕食を済ませ明日からの夏休みどうやって過ごそうか、花火大会楽しみだなと考えながらお風呂から戻ると携帯にメールが入っているのを知らせるランプがチカチカと光っていた

タオルで髪を拭きながらメールを確認するもあまりに理解不能な内容で二度見した

“彼氏出来たからお祭り一緒に行けなくなった!こめんね!”

「は、はぁ!?何それ、裏切り者ー!」

携帯に向かって叫んでも仕方がないのに、この怒りをどこにぶつけたら良いのか

前々から今年の夏祭りも彼氏の居ない寂しい女同士で行こうねと約束していたのに、折角だからと新しい浴衣を一式揃えたのに、なんだその仕打ちは、私アンタに何かしたかな


「“お前がそんな薄情者だとは思わなかった、新学期は覚えておけよ”っと、我ながら酷い文面」


携帯画面に怒りの文章を打ち込み裏切り者の友だちへ送りつけてやった、休み明けが逆に怖いが今はそれ所ではない

ベッドに携帯を投げつけると返信を知らせる音が鳴り、恐る恐る画面を見ると意外な返事が返ってきた


「なんだよ対策って、最初から私とは行く気なかったんじゃん」


“そう言うと思ってちゃんと対策は練ってあるから、一人でも浴衣着てお祭り行くんだぞ、絶対だぞ!”

と表示された文字を何度も読み返したが全く意味が分からないからとりあえず熊のキャラクターが小躍りしてるスタンプを送りつけてやった

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