魔法界の猫

□賢者の石、1話、転生、出会い
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……ま

…さま


「名前様」

『…』


屋敷僕のエトーレが起こす声で目が覚めた名前


「おはようございます、名前様。
…いかがなさいましたか?」


いつもならエトーレが部屋をノックする音で目が覚めるのだが、今日は随分と夢に入り込んでいたようだ
部屋の入口で待機しているエトーレが心配そうな顔で此方を見ている


『…いいえ、何でもないわ。おはようエトーレ』


深々と頭を下げ、エトーレは続ける


「おはようございます、名前様。
もうすぐ御朝食のお時間でごさいます」

『ええ、すぐ行くわ』

「では」


もう一度頭を下げ、エトーレは部屋を出る


『…』


昔の夢を見た

死んだあの日の、夢


通勤中だった私は車にひかれ、目覚めると魔法使いの子供として生まれ変わっていた

両親から教わる魔法や歴史、書斎にある膨大な量の本を読むことで分かっていった事がある


驚くべき事に、あのハリーポッターの世界だったという事だ

そしてタイミングが良いのか悪いのか、主人公であるハリー・ポッターと同い年であることも分かっている…

幼馴染がドラコ・マルフォイだからだ


とは言っても、私が生きていた頃には2巻程しか出版されておらず、
しかも生まれ変わってからの赤ん坊の頃の記憶なんて無いし、その間に忘れた事だってある

前の自分の容姿すら思い出せない
つまりはほぼ無知と言っていいだろう



二度寝したい気持ちを押さえてクローゼットから暗めの緑のワンピースを出し、黒のカーディガンを羽織る

髪を高い位置で結べば、深緑のピアスが揺れて光を反射した
少しヒールのあるパンプスを履いて部屋を出た



今年11歳を迎えた名前は、ホグワーツ入学を9月にむかえている

今日は入学に必要な物をダイアゴン横丁に買いに行くのだ
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