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□???(正)
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夏は終わった。
なのに、時々不安なるのだ。
あの夏の日のことを・・・。



「なぁ、弟者。」
「ん?どうしたの?」




暑くて堪らないからと、兄者がアイスを買ってきてお風呂上がりに食べていた。
そこから中々話さないので、不思議に思いながら待つことに。



「もし、俺がいなくなったら・・・お前はどうする?」
「え?いなくなる・・・?」
「例えばだぜ?」



例えば、兄者がいなくなったとしたら?
俺はどうするのかって?
まずもって、兄者と離れることすら想像が出来ない。だって、今もこうして一緒にいる。



「えぇ・・・。想像できないよ。」


「お前なぁ。本当にいなくなったらどうするんだよ。」


「兄者はいなくならないでしょ?」


「うっ・・・。まぁ・・・でも、どうするのかは聞きたい。」


「うーん・・・。そりゃあ、探すよ。見つかるまで何時までも。」


「へぇ・・・?俺がいなくなったら寂しいからとか?」


「そんなの当然じゃん・・・。」


「え?なんだって?」


「な、何でもないよ!」


「何だよ?余計気になるじゃん。ほら、もう一回。」


「くっ・・・。さ、寂しいに決まってるだろ!!」


「おっと?やけくそになって告白されたわ。」


「ち、違うもん!!俺はただ・・・!」


「はいはい。そういうことにしてやるよ。」


「もう!絶対その顔は面白がってるでしょ!」


「い〜や〜?全然〜?」


「うぅ・・・兄者の意地悪!」


『ごめんごめん』と謝る兄者を無視してアイスを食べる。
笑う兄者をよそに、俺は本当にそれが現実となったらどうしようと考えた。



そうなったら、俺は冷静でいられるのか?
本当に兄者を見つけ出せるのだろうか?



一番はそんなことが起きないこと。
絶対、来てはならないことだと思った。



そんなことはない。
兄者はここにいるじゃないか。そう思っても、何だか胸騒ぎがして怖くてたまらなかった。



そんな思いが消えないまま真夏の日を迎える。
 

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