2bro
□あの頃をもう一度
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朝起きても暗い空。
今は冬だと言われば納得するかもしれないけれど、外からはテレビの砂嵐ような雑音。
「こんなに続くなんて・・・異常ね・・・。」
テレビの報道では,地球温暖化の影響ではないかと言われている。
ただでさえ暗いニュースによって,世の中を恐怖が広がっていると言うのに。
『連続小学生殺害事件-既に2人の犠牲者-』
「はぁ・・・。」
最近ずっと新聞の大きな見出し。
犠牲となった2人の尊い命。
しかも、それは雨の増水を利用した殺害方法だった。
これを警察は、犯人は以前から計画を立て、被害者が小学生のため、何らかの怨恨の可能性は低いと考えている。
だが、この犯人は犯行前に子供の親の元に折り紙が送られた。
何も書かれていないが、折られた動物に意味があるのでは無いか。
そう言われるようになった。
そして、付いた名が『折り紙殺人鬼』
犯人の痕跡は雨によって消えてしまい、何の情報も得られなかった。
もう2ヶ月経っているのに容疑者すら浮かんでいない。
「はぁ〜・・・。」
思わずため息が出てしまう。
後ろにある窓のカーテンを開ける。
「いつまで続くんだろうか・・・この雨は・・・。」
曇天の空が広がり、地面に溢れんばかりに降り注がれる雨。
今は冬なので、気温の低下が著しい。
この気温にとても小学生耐えられる訳がなかった。
それだけはなく、いずれも水死でなくなっている。
雨が降ると自然に水が溜まっていき、いずれ死に至ってしまう。
恐らく、苦しんだに違いない。
そのため、学校では登校時の警戒を厳重にし、警察も出動する始末。
「おっ?何だよ暗い顔してんなぁ?まぁ・・・こんな事件が起こってんだから無理もねぇか・・・。」
「あぁ・・・メロさんかぁ・・・。警察がこんなところに居てもいいの?」
「そうだな・・・。まっ、おっつんの安否確認ってことで!」
「おいおい、俺は子供じゃねぇぞ?」
「まぁまぁ、細かいことは気にすんなよ。」
事務所のソファにどっかりと座り、『疲れた』とメロさんも人のことを言えないくらいに暗い顔をしていた。
「捜査に進展は?」
「・・・聞かないでくれ・・・。おっつんの方は?」
「俺も全然・・・。」
「はぁ・・・このまま被害者が出ないことを祈るしか・・・ねぇんだよな。」
警察も神頼みするしかない状態らしい。
それほど状態は悪いようだ。
「おついち探偵のプロファイリングはどういうのだっけ?」
「え?それは何度言っても警察は相手にしてくれないんですけどねぇ?」
「あいつらは信じねぇかもしれないが、俺は信じるよ。おっつんには何度もそれで助けられたわけだし。」
とか言いながら、それを横取りされているような気がするんですが・・・気のせいですかね?
「何だよその顔。ブサイクになってんぞ。」
「誰がブサイクじゃ!」
嫌味を言うメロさんに喝を入れる。
僕のプロファイリングは、警察の意見とは真逆だった。
警察の見解を当てはめてみても、明らかに矛盾だらけだったから。
「だから、僕は僕で捜査するんで。」
「何だよ・・・俺は、おっつんの言ってることは正しいと思ってんだぞ?」
「そんなこと言っていいの?」
「・・・良いんだよ。犯人を見つけんのが俺らの仕事だ。可能性は見つけとかないとな。」
そう言ったメロさんの顔は、怒りに満ちていた。
この事件を終わらせなれば・・・。
また次の犯行が行われるかもしれない。
「何か・・・手がかりの1つでもあればいいんだけど・・・。」
犯人の犯行は完璧で、1つも痕跡をのこしていかない。
あったとしても、雨によって全てが流れる。
「まずもって、捜査よりも雨があがってくれねぇと・・・こっちが何も出来ねぇんだよな。」
「うん。ホントだよね・・・。このまま・・・何も起きなければいいのに・・・。」
そんな思いも雨に流されたらしい・・・。
その2日後・・・3人目の被害者が出たという報告をメロさんから受けた。