novel
□笑顔のその先
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過ごしやすい季節も終わり寒い冬。
時刻は午後11時過ぎ、杏理は大量の仕事をやっと終わらせ神室町近くの通りを歩いていた。
(はあ、やっと終わった…まさか夕方からあんなに忙しくなるなんて。)
今年3月下旬、某化粧品会社に就職した杏理は安心したのもつかの間、4月から段々忙しくなっていく事に驚きながらも上司から与えられる大量の仕事をなんとかこなしていた。
(あ、そういえばドラマ録画するの忘れてたんだった…)
毎週月曜日にチェックしている深夜ドラマを今朝録画予約するのを忘れていたのに気づいた。
今朝は会社の鍵を開ける当番だったのでいつもより1時間早めに家を出たのだ。
(最悪…近道しようかな…)
杏理の自宅と勤めている会社のあいだには
神室町があるので横切った方が早いのだが
治安が悪いことで有名なのを知っているので
普段は絶対通らず、回り道していた。
(しょうがない…早歩きで行けば大丈夫だよね…?)
杏理は七福通り東から入り七福通り西まで早足で向かった