novel

□優しさで溢れるように
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カーテンの隙間から漏れる光に照らされて
寝起きの目を擦りながら上半身を起こそうとすると
自身の身体に重みを感じる。


確認しようと見てみると
普段、太陽に浴びることが無いのであろう
少し青白くゴツゴツした腕がそこにあった。






「真島さん...朝ですよ。」






腕をどけて身体を揺さぶってみるが
一向に起きる気配がない。



サラサラの髪、
整った眉、閉じられた瞼の先には
男にしては長いまつ毛、
筋の通った鼻。
そして少しカサついた唇。


それに上半身裸の真島は
いつ見ても色っぽい。




杏理はじーっと
真島の顔を眺めてみる。


真島自身、普段から自分のことを
高評価しているがあながち嘘では無いと思う。



杏理はそーっと真島の瞼を
何度か撫でてみた。
するとピクッと反応が返ってくる。




「ふふっかわいい」

とそんなことを呟いた時、




いきなり視界がひっくり返って
目の前にはニヤニヤ顔。



「なんや、さっきから誘てるんか?」


真島がおい被さってきた、


そして唇を重ねてくる。




「ん...真島さん、起きてたんですか?」


「杏理が起きる前からな」

と言いながら真島は起き上がり
ベッドに座って煙草を吸い始める。



この匂いが好きだ。
今この時間、真島が
自分のそばにいるのだと
再確認できる。




杏理も起き上がり
背中を向けて煙草を吸っている
真島の吐き出す煙を見つめた後
杏理は真島の背中にある般若に
そっと人差し指で触れ、線をなぞる。



すると真島は擽ったそうに
少し身体をよじった。



「今日もべっぴんさんやろ。」


「はい、今日はなんだかいつもより
優しい気がします。」


「ヒヒヒ、杏理とおるときは
いっつもそうやねんで。」


真島はそう言うと煙草を灰皿に押し付け
またベッドに潜り込み杏理を引き込んだ。


するといつもより優しい声で言った。
「杏理、いつもおおきに。」



杏理は一瞬驚いたが
真島の胸に顔を埋めた。




「ふふっなんだか真島さんじゃないみたい。」


「アホ、いつもと一緒や」



2人は顔を見合わせると目を閉じ
再び眠りについた。








(二人をつなぐ想いが
けして色褪せないように。)






 

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