*DQ8 short dream*

□空中デート
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「僕に掴まって」

『え、う、うん!』

戸惑いながらエイトの腰に手を回すと、光に包まれてふわりと空に舞い上がった。
神鳥の温かい光の翼が開く。

「しっかり掴まってね!」

エイトはそう言い、高度を上げる。
小さくなっていく街の光や、近くなる星空に名無しは目移りした。

『すごい…!』

「いつもは鳥の姿になるけど、神鳥に乗るっていうのも新鮮かも」

『そっか、普段はエイトが鳥になっちゃうんだもんね』

なんか面白いね、と笑って、ちらりとエイトの背中を見る。
名無しの腰に回した手にぎゅっと力が入った。

「怖い?」

『う、ううん!なんか、ドキドキしちゃって!いつも先頭にいるエイトがこんなに近くにいるなんて…って、私何言ってんだろ』

思った事がつい口に出て、焦って咄嗟に手を離すと、強風に煽られそうになる。

『きゃ!』

「名無し!」

エイトは振り返ると、片手を名無しの腰に回して抱き寄せた。

『ご、ごめんエイト!』

離れて体勢を整えようとするが、エイトは名無しを離そうとしなかった。それどころか、更にぎゅっと引き寄せられる。

細身に見えるのに力強い腕。すぐ近くに感じるエイトの呼吸。密着する体。優しい匂い。

「ごめん…もうちょっとこのまま」

そう言って首元に顔を埋められ、名無しの心拍数は更に上がってしまう。

どうしよう、こんな甘い空気…。

エイトが顔を上げると、至近距離で目が合ってしまった。
動けないでいると、エイトの親指がそっと名無しの唇をなぞる。

『……っ』

距離が、もっと縮まる。
もう後には引けなくなって、吸い込まれるようにエイトの口付けを受け入れた。
高鳴る鼓動と甘い感覚で、頭がふわふわしてくる。

そっと唇が離され、エイトにじっと見つめられる。
ふわりと風が吹いて、名無しははっとした。

『神鳥さまが見てる…』

でもどうか、この時間をもっと長く…。
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