マギ夢小説

□マギ-長編 バルバット編
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「俺らはここから南の方角に行く。こっからは別行動だな。」

「ああ、世話になった。……土産は地酒辺りか?」

「よせやい、俺が酒で痛ぇ目見たのはお前も知ってんだろうが……。」

朝。透蘭は港を有する国、バルバットの街が目前に見えるところまでキャラバンで送ってもらっていた。


「土産物はいい。うちの隊員の命と大事な商売道具達の方が、酒や宝石なんかよりもよっぽど価値のあるもんよ。
それよりも、お前さん自身の旅の土産話蓄えとけ。
今回のキャラバン旅ン中じゃ夕食の添えモンにも出なかったが、土産話の方がお互いに悪酔いしなくて良いだろうよ。」

「……聞いても美味い話とは限らんぞ?」

「酸いも甘いも苦いも辛いも、一度はそれを食べたものにしかわからん!
キャラバン旅は美味い話だけじゃねえ。俺のキャラバンにいるのは、それでも旅をし続ける変わった奴等ばっかりよ。
だから透蘭。俺らの知らない話を食ってから、また会おう。」

「……次に世話になるキャラバンがお前たちで無いことを祈るよ。」

「あははっ!確かによく顔を突き合わせての近況報告でもいいが、しばらく会わずにたんまり話をため込んでからの方も楽しい!」

一見嫌味に聞こえかねない不器用な透蘭の言葉をも、キャラバン長は明るく返した。

「アザマも達者でな。精々道中ローストされねぇように気を付けろ!最近のバルバットは治安が悪いからな!」

キャラバン長の軽口に大きなお世話だとでも言うようにアザマがキィッと鋭く鳴く。

ありがとう、また来いよ、とキャラバンの隊員達のまばらな声を背に受けながら透蘭達はバルバットへと向かっていった。
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