short

□Bring Me To Life
2ページ/4ページ



「君を気に入った」と言われた。



嬉しかった。素直に。

貴方が好きだったから。



「私の傍にいるように」と命じられた。



胸が震えた。

だってその時とうに私の心は貴方のものだったから。



「君は私のものだ」と宣告された。



信じられないほどの快楽と引き換えに暗闇に堕ちていった。

身も心も貴方のものだと想いは止められないのに。

貴方にとってそれが、恋でなく、愛でないなら。

ただ躯を差し出す私は何なのですか?



コレハアイジャナイ



貴方からのたったひとつの言葉さえ与えられず。



アイシテルトイッテクレナイ



私はモノとなって、ただ貴方の悦楽のために毎夜この躯を……。











首が折れるほどに上向かされて。

許されるのは、ヴァーリ様自ら離れる一瞬だけ。



「ん、んっ……」



「まだ、駄目だ」



閉じることを許されない唇にヴァーリ様の指が這う。

その指は、唇から頬へ、顎へと。



触れる指に、ぞくり、と震えた。



それを確かめてヴァーリ様の薄い唇が微笑みの形を作る。

ヴァーリ様の唇が触れる。

頬に、唇に。

濡れた感触。

唇を舐められて、そして噛まれて、また、舐められて。

繰り返し与えられる、痛みと癒やし。

回数を追う毎にそれは甘い痺れに変わる。

だったそれだけのことでさえこの躯の奥は疼く。

こみ上げる熱い熱に浮かされるのを止められない。

もちろん、ヴァーリ様にはそんなこと解っていて。



私は知らない。

こんな私を知らなかった。

私でさえ知らない私を、ヴァーリ様はいとも容易く引き出してゆく。



上向かされた唇をこじ開けられ、奥深くまで蹂躙される。

まるでその先の行為を予告するように。



絡み合いどちらのものとも分からなくなった唾液を飲み込まされる、合わせた唇はけして離されないまま。

深く、深く、すべてを私が飲み込むのを見届けて。

そして、ヴァーリ様は、動く。

その先の……行為へと。



.

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ