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□SANCTUARY
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― prologue ―
暗闇が切り裂かれた。突然。
乱反射する……光。
これは、なんだ?
「良かったです〜、ヴァーリ様を解放出来ましたね〜」
……解放?
光のなかでパタパタと羽根音のようなものが聞こえ何かが浮かんでいる。
せわしなく動くそれを見定めようとしたけれど、ふと、別の視線を感じた。
眩しかった光にだんだんと瞳が慣れていく。
ゆっくり、慎重に、瞬きをした。
ここ、は。
イザヴェル……の草原?
「なんだ、これは?
私は……」
まとまらない思考が、らしくもなく、そのまま口に出ていた。
耳に届く自分の声が妙に狼狽えていることで、初めてそれに気付く。
「……ヴァーリ様は、魔神に封印されていたのです。
私とナビィとで、解放石を集め、ヴァーリ様を解放させていただきました。
ここは、アースガルド。イザヴェルの草原です」
控えめな声が、ゆっくりと私の疑問に答える。
ゆっくりと、優しく。
私を気遣う想いが、その声音には表れていた。
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