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□Vive le Roi
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眼鏡越しに目を覆った。

呼吸を整える。

私は……さすがにキレるぞ、これは。

そもそも君には学習能力というものが無いのか。

私は以前にも君にこう言ったはずだな?



「龍姫、君はバカかっ!」



今日は親父がグラズヘイムで開く宴の準備を任され、朝から親父にこき使われていた。

宴の準備役などもっと手慣れた奴に任せればいいとも思うが、準備役をやればそれを理由に親父の『フィーバー』に巻き込まれることは無くなる。

準備にこき使われるのと、宴の間中振り回されるのとでは、あきらかに準備役のほうが気がラクだ。

龍姫も協力してくれた。

今日は朝早くからケルト地域に赴いて、宴に華を添えるケルト地域の珍しい飲み物や食べ物を貰い受けてきてくれることになっていた。

今日の宴の賓客でもあり、龍姫の手伝いで品々を運んできてくれたアーサーは……私の顔を見た途端にさっさと逃げ出した。

「マーリンがすまない!」の一言を残していったところをみると、この所業はマーリンとやらの仕業で、彼はそれを私が怒るであろうとわかっていたということだ。

何故止めてくれなかったのかと言いたいところだが、今日は謝罪に免じて止めておこう。

だが、君は別だ、龍姫。



「私は、破廉恥な格好は二度と許可しない、と、以前、君に命じたはずだな?」



あれは龍姫が南の島の女神から衣装を賜ってきた時のことだ。

申し訳程度にしか肌を隠さない……いや、逆にその申し訳程度が破廉恥でさえある衣装。

そのままでもほとんど裸同然だ。

それが、動けば肌のそこかしこを露わにする。

さらに、指先ひとつで簡単に解ける。

極めつけは、その薄布を取り去れば、それ以外何も身に着けていない裸体だったことだ。

そんな格好で他の男神の視線に晒されてどうする!?

あの日は幸運にもその姿では一切男神に遭わなかったらしいが。

私は、あの日、確かに、懇々と、君に言って聞かせたはずだな? 龍姫。



「え……っと。
この衣装はダメでしょうか……」



……困った顔をするな。

困っているのは……私のほうだっ!



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