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□INVOKE
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自分の力を過信していたと……。



後悔などと言うくだらない失態を己が犯すことになってからそう思っても遅い。

それをこんな形で思い知ることになるとは思わなかった。



たいした魔神ではないというナビィの話を鵜呑みにした。

雪深い地に踏み込む時はレンミンカイネンに守護させていた龍姫も、この場所ならと私を頼ってくれた。



その結果が、このザマだ。



魔法で雪を操る精霊に騙されて危険な場所に誘い込まれ。

荒れ狂う吹雪に消耗させられながら、あと少し……というところで集中力が途切れ。



背後から襲ってきた魔神を、防げない、と覚悟した瞬間に龍姫に護られた。

龍姫は……その身を投げ出して。



倒れる龍姫の姿が目に映ってから、私がどうやって魔神や精霊どもを退けたのか、私自身記憶に無い。

ただ、魔神がとてつもない冷気をぶつけてくる魔神だったことと、龍姫の身体がその冷気をまともに受けて氷のように冷たくなっていることを確認した以外は。



「確かレンミンカイネンが言っていたな。
寒いように思えても洞窟のなかなら己の体温で暖まると……」



龍姫と一緒に訪ねて行った時、彼は自分の冒険の経験とともに幾つかの知恵を授けてくれた。



「吹雪が止みそうなら無理に歩きまわるより、風の無い場所でやり過ごせ……とも」



ああ。

まさに、今がその状態だ。



やっと見つけた洞窟に意識が朦朧とした龍姫を運び込んだ。

念のため、もう一度、確認する。

怪我は……していない。

私は魔法に詳しくは無いが、それらしい気配は感じない。

冷気と体力の消耗だけだろう。

そう……魔法だ。

私に魔法が使えたなら、身体を暖めることくらいすぐにしてやれるものを。



「龍姫! 龍姫!」



答は無い。

なんとか身体を暖めなくては。



レンミンカイネンはああ言っていたが、吹雪と冷気に晒された私達の体温でこの洞窟が暖まると考えるのは無理だろう。

確かに吹雪のなかよりはマシだが……。



気つけに酒を飲ませようとしたが、龍姫は飲んでくれない。

それに冷たく濡れた服が身体に張りついて、暖まるどころか凍りそうになっていた。

無理も無い。

あの冷気をまともに受けたのだから。



「私を……かばって……」



あの瞬間が脳裏に浮かんだ時、私は躊躇いという感情を捨てた。



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