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□Valentine's Day
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……なんだ、先客が居るのか?



もうすぐバレンタインデーだ。

バレンタイン用特製スイーツ作りの手伝いを頼もうとナビィのところに来たのだが、中から話し声がする。

どうやら先客のようだ。

スイーツ作りが得意そうな神なら手伝ってもらうのもいいな。

そう思って話し声を聞いたのだが……ドアにかけた手を離した。















「ナビィ?
神様を好きになっても……ダメなのかな」



「そんなこと無いです〜。
元気だして下さい、龍姫様ぁ」



「ごめんね、ナビィ。
私、ナビィと一緒に神様がたを助けなきゃいけないのに。
心のなかがヴァーリ様でいっぱいなの」



「ナビィに謝らないで下さい〜。
龍姫様はいつもいつも他の神様のために頑張って下さって、ナビィ嬉しいです。
最初からヴァーリ様を解放したあとも、それはずっと変わらないです。
それは……それは……絶対なんです〜」















ナビィが大泣きし始めた。

ナビィも泣きたいだろうが、このままなぐさめる側に回ってしまっては龍姫もつらいだろうな。

泣きたいのは……きっと龍姫のほうだから。

これは、私が助けてやらねばなるまい。

もう一度ドアに手をかけて、力いっぱい……引いた。



「どうした? ナビィ。
泣き声が外まで聞こえているぞ。
ああ、龍姫はここに居たのか。
龍姫、ちょっとスイーツの材料狩りに付き合ってほしいんだが。
それから、ナビィ。
あとでスイーツ作りの手伝いを頼みたいのだが……構わないか?」



ひっ、と小さく息を飲んでナビィが泣き止んだ。

なんだ? おかしなやつだな。

よく見れば顔も青ざめている。



「大丈夫だ、材料狩りは龍姫に手伝いを頼むからな。
ナビィは怖いことは無いぞ。
……というわけで、今から龍姫を借りていいか」



「は、は、は、は、はい……。
ドウゾ、行ッテラッシャイマセ」



おいおい、カタコトになっているぞ?

大丈夫か、ナビィ。



「ナ、ナ、ナ、ナ、ナビィ……。
私モ行クカラ、キット、大丈夫ヨ、タブン……」



なぜ龍姫までカタコトなんだ?

まあ、いいか。

とにかく龍姫を連れ出すのが先だ。



「さあ、行くぞ!」



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