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□hide my tears・II
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雪の森。

何もかも覆い隠す清冽で美しい一面の……白。



でも。



立ち尽くして、立ち尽くして、どんなに立ち尽くしてみても。

それは、私の勝手な想いごと私を埋めて隠してくれたりはしない。



真っ白な空を仰ぐ。

純白が落ちてくる。

けれど、その白は頬をつたう涙に溶ける。

邪な……私は、この純白に触れられる資格さえ無い。



「龍姫……? 何をしている!? どうした?」



「何でもありません、ヴァーリ様」



「何でもないわけがあるかっ!」



怒気の込められた声。



こんなのは違う。

あなたを失望させたくはないのに。



「本当に……どうした?
誰かに傷付けられたのか?
そんなことは私に言えばいいだろう。
くだらん事をする奴など、この鞭で始末してやる」



お願いしたら、聞いて下さるのですか?



つまらない人間の身であなたの愛を望む愚かな私を。

その鞭で始末して下さるのですか?

この雪さえ隠してくれない私の愚かさを、その鞭は消して下さいますか?



あなたの手で消されるなら。

でも。

消えたくない、あなたの傍に……居たい。



落ちてくる……清冽な純白。



そのなかに あなたの 白が とけた





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