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□進め!恋の肝試し大会……の舞台裏
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「だからさぁ、アンタ達に会場になる日本神社の魔神を討伐しといてほしいのよ〜」



何故、我々が、だ? と。

聞いてみたところでまともな回答を期待出来るわけはないだろう。

目の前の弁財天を見れば一目瞭然だ。

それでも、ナビィの依頼でなく、大黒天の誘いでもなく、弁財天直々の呼び出しに何事かと駆けつけた我々の立場も考えてほしいものだ。

そんな意味も込めて問うことにした。



「それで?
何故、君がそれをしない?」



「あらぁ〜?
アタシはここで準備があるものぉ」



……無いだろう?

確かに先刻まで他の神々が居たらしい痕跡はあるが、今ここに居るのは既に出来上がった飲んだくれの女神だけだ。

どう見ても何かの準備をしているようには見えない。



「他の神様がたはどうされたんですか」



龍姫がもっともな質問を口にした。



「ん〜?
協力してほしい神に頼みに行ったりしてるんじゃな〜い?」



これ以上何を話してみても時間の無駄だな。

突き付けられた結論に軽く失望して眼鏡越しに目を覆った。



「龍姫、さっさと終わらせて帰るぞ」



「……はい、ヴァーリ様」



龍姫の返事も気が重そうだったが、無理もないことだろう。

こんな馬鹿馬鹿しいことに借り出されたとあっては。



ともかく私達は駆け抜けた。

普段は日本の神が集うという広場から、うっかりすると迷い込みそうな暗い闇を抜けて。

日本神社の周辺は我々の北欧とはまったく違う。

同じ日本である海上神社とも違う。

皮膚に纏わりつく闇のなか、闇よりも不可解な言葉に表しにくい空気がそこかしこに淀んでいる。

だが、私達に課せられたのは魔神の始末だ、それだけはどの地に在っても変わらない。

私も龍姫も難なくその仕事をやり遂げた。

酒盛りに付き合わせようとする弁財天の誘いは固辞して、さっさと北欧に戻りはしたが。



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