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□ROCK MY HEART
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「龍姫、資料を探してくれ。
龍姫、龍姫?
……そう、か。
居なかったんだ」



もう何時間、書物の中に没頭していたのか。

身体の疲れと喉の渇きは、それがかなりの長時間なことを示している。



だが。



考えても、意味は無い。

考えたからといって龍姫が早く戻るわけではない。

まして独りで過ごした時間を確認して龍姫が戻るまでの時間を指折り数えるような……。



「私はそんな子供ではない!」



……悪い傾向だ。

自分で自分に苛立ってどうする?

私ともあろうものが。



ナビィの依頼でエジプト冥界の調査に出かけた龍姫。

特に魔神の出現が予想されるわけでも無く、あちらでは冥界の王であるオシリス自らが便宜を図ってくれるということで、何の心配も危険も無い。

だから、龍姫は独りで出掛けた。



思えば私が当たり前のように龍姫の守護神に付くようになってから、こんなに龍姫と離れていたのは初めてな気がする。

いや。

初めて、だ。



だからというわけではないが、何か落ち着かない。

在るべきものが在るべきところに無いような。

慣れ親しんだはずの自分の館でさえ、妙に落ち着かない。

ぽっかりと空いた。

静まり返った部屋に自分の胸の鼓動だけが響いて溶けてゆくような。



「何なんだ、この気持ちは……」



「ふぉっふぉっふぉっ。
龍姫が居らんのが寂しいんじゃのう。
お主にもそういうカワイイところがあるんじゃな」



突然湧いた気色の悪い笑い声。



「クソ親父〜!
いつの間に入ってきた!?」



「あ、それ、親父のせいじゃないぜ? 兄貴。
兄貴ったら、館の扉もこの書斎も障壁ひとつ張ってないんだから。
誰にでもカンタンに入ってこれちゃうよ」



……ヴィーザル、か。



騒がしい親父に掴みどころの無い弟。

最悪な組み合わせだ。

普段はそうでもないくせに私をからかう時だけは意気投合するという。



「いったい何をしに来た?」



こめかみが重い。

眼鏡を外して、視線を合わせずに質問した。

ヴィーザルはともかく親父は一応この世界の至高神だが、どうせ私をからかうために来ているのに違いないんだ。

至高神への敬意なんか知ったことか!



「お! 話が早いな」



「それっ! ヴィーザル!
このカチコチ息子を引っ張り出すんじゃ!」



「……なっ!? 何をする!?
ヴィーザル、離せ! 親父!?」



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