セブンス ヘブン

□セブンス ヘブン 7
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知念を先に風呂に入れて自分も風呂に入った。上がると知念はベットの上でくつろいでいた。

「知念、もう7時だけど帰らなくていいの?」
「へいき。だいきにはラインしといたから。」

心配したふうにいいながら、帰す気なんてさらさらなかった。髪をタオルで拭きながら隣に座ると華奢な身体を寄せてくる。自分と同じシャンプーを使ったはずなのに知念の香りはどことなく甘く感じた。俺の方からも身を寄せて、まだ少し湿っている髪の毛に鼻先を埋める。すると、知念は上目遣いで俺を見つめてきた。

「ねぇ、気になってたんだけど、りょうすけはひとり暮らしなの?」
「そうだよ。もともと親父とかあちゃんは離婚してて、かあちゃんと俺のふたり暮らしだったの。でも去年、かあちゃんが事故で死んだから。俺はそれからひとりぐらし。」
「へぇ。そうなんだ。ごめんね、やな事聞いちゃった。」
「へいき。知念には隠し事したくないし。」
「えへへなんだか嬉しい。でも、ぼくとりょうすけは似てるね。」
「ん?」
「ぼくはお母さんの本妻の子じゃないの。」
「えっ」
「実は愛人の子なの。その上こんな、厄介な病気だって抱えてる。だからお父さんにもお母さんにも愛されずに生きてきたの。」

俺は知念の顔を見つめることしかできなかった。甘え上手でわがままなところがあるこいつのことだから、てっきり家族に甘やかされて育ったものだと思っていた。

「でもようやくりょうすけみたいに愛してくる人にであえたの。」

そう言って微笑んだ知念は今まで見てきたなによりも美しかった。

「俺もお前に出会えてよかった。もう寂しくなんかないよ。」

さっきより髪に埋めていた鼻先を、少し下にずらしてふっくらとした頬に寄せた。チュッとわざとリップ音を立てて頬にキスをすると知念はふわりと頬を染めた。

「やだ、セクハラ」

照れてそんなふうにいってくるのがかわいくてしかたない。

「もっとしてほしいの?」

寄せていた身体をもっと密着させる。腕を回して華奢な身体を腕の中に閉じ込める。耳たぶをがぶがぶ甘ったるく噛んで、鼻先にも噛み付いた。

「フフッりょうすけなんだか犬みたい」

ケタケタ笑う知念がかわいくて。

「でも嫌じゃないだろ?」

唇にキスするすんでのところで動きを止めて聞く。

「何その自信」
「知念は俺のこと好きなんだろ?」
「当たり前じゃん。大好きに決まってる。」

そう言って破顔してぎゅっと抱きつかれた。そして知念の方から唇を合わせてきた。たっぷり15秒間、唇は合わさったままだった。甘い音を立てて離れていった互いの唇を、二人して赤い顔で見つめていた。何と言葉を発していいかわからず、固まっているとぐぅっとマヌケナ音が聞こえた。

「……りょうすけ、おなかすいたぁ」

俺は思わず吹き出した。

「ふふっ じゃあ飯にするか」

そう言ってベットを降りて冷蔵庫を漁る。知念は相変わらず俺にぴっとりとくっついている。その姿が愛おしくてたまらない。

俺は心の中でひっそりと決意した。
もう一生こいつに寂しい思いはさせないと。
そして、絶対に幸せにしてやるって。

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