ハイキュー

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「........あれ...?」




昼休み前の授業が終わり
リュックの中を覗き込んだ名無しは、首を傾げた。





部員に渡すプリントを入れたファイルが、無くなっている。






「......どこいったんやろ...。」






...今朝、リュックには........入れた、間違いない。


...今日あのファイルは........1度も出していない。




ふと、廊下側を見ると
女子生徒が3人、こちらを見てくすくすと笑っているのが視界に入った。





(......えー......また...??)





名無しは面倒臭そうに立ち上がり
女子生徒たちが集まっている席に向かった。






「...あのさ。......ちょっとええ?」



女子「......何?」







「...私のファイルとか...見てへんよな?」







名無しの言葉を聞いた途端
ニコニコしていた3人は、急に表情を変える。




女子「......はあ?......なんなん自分、失礼すぎるやろ。」



女子「...部活用やからって。
......無くしたん、ウチらのせいにする気?」







(...“部活用”ってまだ言うてへんのに。......確定やん。)




授業用と部活用でファイルを分けている名無しは
3人が、自分のファイルを隠したことに確信を持つ。



持ったものの、どう言えば返してもらえるかも分からず




「...もう1回、探してみるわ。」




と、一旦その場を離れた。







女子「...宮に近づき過ぎやねん。......ウザ。」










よくありそうな動機と、よくありそうなパターン。


自分の席に戻りながら、名無しは緩む口元を慌てて押さえた。







(...ベタやわぁ...。...こないな展開、嫌いやないけど。)







侑、治とバレー部の一部しか知らない名無しの趣味。




それは、少年、少女漫画を読み漁ることだった。




そして、日常で起こるそれらに類似した出来事を探すことこそ
どんな内容であれ、名無しの1つの楽しみでもあった。





今回もまた、例外ではない。
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