ハイキュー

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この恥ずかしい状況を、どうにかしたい。





恋人っぽい雰囲気について考えていたことを
名無しはすっかり忘れて、侑との近過ぎる距離を離そうとする。



早過ぎる。

自分には、この距離感は早過ぎた。






「....勉強、せなあかんやろ.....っ...。」






抱き寄せた腕を離そうと力を込める彼女を、じっと見つめる侑は
力が弱過ぎて、むしろ愛らしく思えていた。





侑「分からんのは数学だけや。...しかも、もうほとんど聞いた。
後はこの1問だけやし...聞いたのに教えてくれへんかった名無しが悪い。

...........完璧やん。明日、バレーしてもええんちゃう?」



「......ドヤ顔せんといて...。」





そう言いながらも、ずっと力を込めているのに
どうしてここまでビクともしないのか。

男子(選手)と、女子(マネージャー)の間に
まさかこんなにも力の差があったとは、実感しないと分からないものだ。








侑「............そないに余裕でええん?」








時々見せる侑の艶笑に、名無しはドキドキしていることを自覚している。


だが、ここで折れてはいけない理由があった。








「......せやかて、隣の部屋にサムおるやん。」








侑と同じように、ずっと一緒だった治。


彼が近くにいるのに侑とそういうことをするのは
嫌と言うよりは、ただただ恥ずかしい。



これを言えば侑も分かってくれるだろうと、顔を見上げると









侑「......??......治、おらんけど。」









...きょとんとした。




「...........っはぁ!!?......な、なんで...。」






侑「今日名無しが来る...って言うたら

俺、今日昼からすなりんの家行くけど

..........って。」






「...........え。」



(...じゃあ...今日、私にあれ言うた後、倫太郎の家に......?)






軽く混乱している名無しと、今まで彼女が拒否していた理由をあっけなく知れた侑。











侑「......俺、言うたやん?

...........“2人きり”、って。」
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