ハイキュー
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とある金曜の、部活後。
「......ツム、遅いなぁ......。」
治「........何してんねん、あいつ。」
校門前に立つ名無しと治は、時計を見た。
治が先に部室を出て、出たところで名無しと合流し、侑を待つこと20分。
着替えが遅いわけでもない侑が20分も出てこないことに
2人の足は自然と体育館の方向に向かう。
治「......部室、もう1回見てくるわ。」
「......じゃあ私は、体育館周り見てくるな。」
めんどくさそうに部室に向かった治を見送って
名無しは、電気の消えた真っ暗な体育館へと走る。
ケータイのライトだけが頼りだ。
夜の、しかも真っ暗な体育館なんてホラーでしかない。
正直、ホラーは苦手だからダッシュで済ませたい。
体育館の周辺は、基本的に明かりがなくて真っ暗だけど
裏に1つだけ外灯っぽいのがある。
侑がいるならそこしかない。
「......お......??」
体育館裏に近づくと、大きな影が見えた。
(......あの後ろ姿、ツムや...!!)
侑の後ろ姿が見えただけで、安心して
なぜそこにいるのかを特に考えないまま声をかけようとする。
「......ツム......。」
侑「......なんなん...名無しとサム、待ってんねん。」
(......え...誰かおるん気づかんかった!)
よく見ると、侑の影に隠れて見えなかったが女子生徒がいる。
さらによく見ると、その女子生徒はバレー部の1年生のマネージャーだった。
女子「......あ、あの...!
......私、宮先輩のこと...す、好きなんです!///」
この言葉を聞いた瞬間。
名無しは、聞いてはいけないことを聞いてしまった時のように
くるりと向きを変えて、治がいる部室に向かって走った。
治「......あ...名無し。
...侑、部室にはおらんかったわ。...荷物も無い...。」
「さ、先に帰ろう!!」
丁度、部室から出てきたところだった治の言葉を聞き終えるより先に
治の腕を掴んで、校門へ走る。
治「...え......ちょ...。」
自分より遅い名無しのダッシュに合わせるのは簡単だったが
治は意味が分からず、体育館を何度も振り返った。